八犬傳 観察日記 2

「知らなかったよー」の段

で、第 2 部である。これはのっけからスゴイ。「前回のあらすじ」が 紹介されるのだが、ここがすごい。だって、出てこなかった名前がここで続々と出てくる。 「丶大 (ちゅだい) 法師」とかね。「犬村道節」とか「犬川荘助」にいたっては、 名前もここで初めて出てくるけど、いきなり「八犬士のひとり」とかって言うのである。 第 1 部でそんなこと一度も言ってなかったと思うのだが……。まさか「あらすじ」で 衝撃の新事実が出るとは。やられたぜぃ。

さて、今度は確実になった犬村道節が、浜路とやはり確定した犬川荘助の前に現れて、 助けてくれるシーンである。また笑う。
「ははははは、はははははははは、あはははははははは、あっははははははははははは」
というわけで、前回より 1 回増えている。しかも彼は 安そーな花火で登場する。彼も J リーグサポーター だったのだ。知らなかった。そしてダメ押し。
ははは、ひどい目に合われましたな」
この後、ちょっとだけ荘助が事情を説明すると、道節はそれでわかってしまう。 あんた、実は前から知ってたんじゃないのか?

世界に広げよう友達の輪、WA! の段

そして、荘助と道節はどちらも同じような玉をもってるというだけで 義兄弟になってしまう。実はこれは筆者の師匠から 聞いていたので期待して待っていたのだが、まさかこれほどとは。 こいつら会う人ごとに義兄弟になってんじゃないのかなぁ (「え、おれも キング・クリムゾンのファンなんだ」「へー、じゃぁ義兄弟ね」)。で、なんか 学芸会のように荘助曰く「力を合わせて信乃殿を助けにいこー」。普通は 「は?」という返答が返ってもよさそうだが、そこは義兄弟。道節はひょこひょこ ついていってしまうのだった。

一方の信乃と現八は、芳流閣のてっぺんから川に落ち、運良く船に引っかかって 流された先で犬田小文吾に出会う。こいつはちゃんと名乗ってくれた。よかった。 でも、彼ら 3 人もあっさり「では義兄弟」ってことになってしまう。そして 小文吾曰く「力を合わせてたたかおー」。 どうにかしてよ、もう。

しかし、さらに疲れる事態が訪れる。突然家に入ってきた丶大法師サンが、 「八犬士を探しておったのじゃー!」とか「里見の家を救うのじゃー!」とか言い出すのだ。 いきなりそりゃなしだろ、と思うのだが、とにかく彼らは 義兄弟である。「さぁゆけっ」といわれて 「ハッ」とか行ってアタマ下げてしまう。かくして、丶大司令官に後を頼んで、 信乃レンジャー、現八レンジャー、子文吾レンジャーの 3 戦士は 川に逃げるのであった。

浜路おいてけぼりの段

場面が変わって、荘助と浜路が歩いている。いつのまにか道節がいなくなってるし、 いつのまにか荘助の着物が高そうなものに変わっている。どこで誰の金で買ったんだろう。

ここでさらに 2 人の八犬士、犬江親兵衛と犬坂毛野がメンバーに加わるのだが、 もはや原作どおりかどうかなんて誰も気にしない。だから、その辺の話は ここでははしょるが、
親兵衛「そのうち、信乃殿にもきっと会えようぞ」
荘助「そうとも、きっと会える。義兄弟ではないか
浜路「……」
という会話があったことは特筆すべきであろう。注意していただきたいのは、 1) 荘助・毛野・親兵衛が 3 人で毛野の敵討ちの相談をしていた場面であること、 2) やっぱりあっさりこの 3 人は義兄弟になったこと、 3) とはいえこの段階ではこの 3 人と信乃は義兄弟の契りなんて かわしてないこと、の 3 つである。

コナミ提供の段

さて、久々に笑い声が聞ける。庚申山の茶屋で店主から忠告されるシーン。
現八「山賊に化け物か。賑やかなことだなぁ。 わはははははははは
あぁ、君も笑うか。しかもこの直後には、
小文吾「こう 3 人揃っては、山賊や化け物も遠慮したかな」
信乃「せっかく楽しみにしていたのに」
小文吾&信乃&現八「わっはっはっはっは」
(暗くなる)
化け物の親玉 「わっはっはっはははははは」
という、大笑合戦がある。陽気な時代だなぁ。

ちなみにこの化け物の正体だが……え? 「原作読んだから知ってる。 化け猫だろ」って? はずれである。あれは化け猫に化けた 化けゴエモンなのだ。よく見てほしい。雛衣の服から飛び出した 霊玉に当たって正体を現した「ニセ赤岩一角」は、どうみてもゴエモンなのだ。 声だけネコっぽい気もするけどね。で、事態が収集するとどうなるか。 もうわかりますね?
現八「我ら義兄弟として心からお喜び申す」
ふぅ。やれやれだぜ。

「そうだ、瀧田城行こう」の段

で、唯一毛野が高笑いする場面も出てくる。念願の敵の前に出たところだ。
毛野あははははははは。驚きあきれた馬鹿者めが」
うーん。やっぱりちょっとだけなんだねぇ。どうせ笑うなら、この後の 2 人みたいに しなくちゃ。
「このわしが斬れるか? わはははははははははは
「はははははは、あはははははははは、あっははははははははははははは」
荘助「道節だ!」
そう、道節ほどになると、笑い声で識別されるのだ。

この後、結局敵 (ヒキタゴンの神) は逃げてしまう。逃亡途中、城門のあたりで 丶大法師と浜路に出くわすのだが、こまったヒキタゴンの神様は、何を思ったか、 「鉄砲たーい! 鉄砲たーい!」と絶叫する。おいおい、 そりゃないだろ。たかが坊さん一人に鉄砲隊呼ぶか、 フツー。

それでも丶大法師は助かったし (助けたのは、撃たれても平気な道節クン)、 ヒキタゴンは逃げてしまう。丶大サンが強引に「さぁ、瀧田城へゆくのじゃー!」と 命令すると、全員あっけなくそれに従ってしまう。 優雅に旅する一行 (いや、信乃たちのグループがあるから二行か?) がうつり、 それに重ねて「瀧田城へ」の文字。なんとなく JR の宣伝でありそうな カットである。それでもまぁ、第 1 部のときよりはずいぶんマトモな 終わり方で、2 部は終了するのであった。




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