007 時計 1998.08.22

時は流れる。時には、あっという間に。時には、のんびりと。
時は流れ続けている。
そして、時計は時を刻む。

現代社会において、時計は必需品とされている。
時間厳守の原則で社会は動いているからだ。
そして、ほとんどの社会人は腕時計を身につける。
肌身離さず時計を腕に装着している。

想像してみる。
腕鍵。腕財布。腕定期入れ。腕ハンカチ。腕ハンコ。腕電話。腕箸。腕湯呑み。腕爪楊枝。腕トイレットペーパー。
滑稽に感じませんか?腕時計。
何でまた、時計なんぞを腕に。

わたしは、風呂以外では腕時計を外さない生活を何年もしてきた。しかし、最近つけていないと違和感さえ感じる腕時計に違和感を感じた。外してみた。
何とも言えぬ、良い心地であった。
最初のうちは、袖をまくって腕を見ることがしばしばあった。しかし、それが無意味なことに気が付き始めた。腕時計をしていない腕を見るということではなく、時刻を確認するということにである。
普段の生活を思い起こすと、朝、目覚まし時計の音で起床する。そして、テレビをつける。番組のあるコーナーが始まってしばらくたった頃、画面の時計を確認して家を出る。寄り道せず出社する。タイムカードの時刻はほとんどいつもと同じ。席につき、Macintoshの電源をいれる。画面の右上にはいつも時計がある。1日の仕事が終わる時刻はまちまちだが、時間を気にして帰宅することはない。
何で腕の時計に目をやっていたのか。そんなに現在時刻を知る必要があったのか。

わたしは、腕時計をつけるのをやめ、安い手巻きの懐中時計を購入しそれをズボンのポケットにしのばせるようにした。わたしはこの時計に信頼を寄せていない。なぜなら、ゼンマイが巻いてあるにもかかわらず、止まることがあるからだ。掌に2〜3回叩き付けてやると「チッチッチッ...」と動き出す。その時は当然時刻を合わせなければならない。そして、大抵は、時刻を合わせるための時計がどこかにあるのである。
そもそも、この時計を見ることはほとんどない。自分の周りから時計が一つなくなった位で、どうなるってもんでもない。

今、腕時計を見ずに時刻を確認するのに何秒かかりますか?


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