私フォルカーは、8月25日から29日まで、仲間と共に草津夏期国際音楽アカデミーに参加いたしました。
私たちの毎日の様子を、現地からの"生レポート"でお送りしたのが、この「草津アカデミー日記」です。
(ただし、28日・29日分は帰京後記述。悪しからず)

●過去の記録●

草津想い出アルバム(1997年)  '98草津アカデミー日記(1998年)


8月29日(日)

今日の1枚
最終日の"練習"は露天風呂入浴!?

最終日。我々の「公式行事」は、昨日の公開レッスンで終ったので、今日は午前中のレッスンを見学して、昼には帰京しようというのがそもそもの計画だった。が、なんと、「ホルン科の公式行事」そのものが、昨日の公開レッスンで最後だったと。
なんじゃそれ!? ってことで、結局、今日の我々のスケジュールはスッカラカン。ラルスさえ良ければ、午前中に一緒にアンサンブルをしてもらおうなんて画策もしたのだが、「昼まで寝るからダメ」の一言であっさりボツ。自分たちだけで音出しするかとも思ったが、なんかみんな疲れちゃったということで、「露天風呂に入って帰ろう!」ということで話がまとまったのだった(なんと軟弱な...)。
幸いにして朝から快晴。ペンションをチェックアウトしたその足で西の河原露天風呂へ向かった我々は、青空の下、みんなで露天風呂に入浴。草津の疲れをお湯で癒して、一路(仕事と家族の待つ^^;)「娑婆」へと帰って行ったのでありました。ご苦労様!(そして、娑婆での生活、再びご苦労さん!^^;)

つーわけで、上の写真は、ウィンナホルン会みんなでの入浴風景(おじさんばっかりでスミマセン^^;)。"欠席"は、途中合流のご家族と一緒に行動されている重鎮F氏。そして、露天風呂到着が遅れた盟友T氏のみ別枠("切り込み写真"っていうの?)で。え?私ですか。私は撮影担当ですので写っとりません。それに、大体において、醜い裸体を晒したくないし...。

以上、「'99草津アカデミー日記」終了でございます。オソマツ様でした!



8月28日(土)

今日の1枚
時間不足がちと残念だった"公開レッスン"

今日のメインイベントは、なんと言っても2回のレッスン。午前9時からの30分と、午後の公開レッスンでの30分。全員揃ってのレッスンは、泣いても笑ってもこの2回だけ。しっかりやらねば、と気合が入る。

そのレッスンでの曲だが、時間が短いので「大曲」を見てもらう余裕はない。でも、せっかくの機会だから、午前と午後は別の曲を見てもらおうということで、2曲を選ぶことに。じゃぁどうする?といろいろ考えたのだが、結局、先発隊で見てもらった「夕べの祈り」は、"倍管"にしてもう一度見てもらう価値があるのではないか、ということで「決まり」。で、もう1曲は、ちょっと違う系統の曲を見てもらおうということで、フライベルクの「陽気な前奏曲」を選択。「陽気な前奏曲」を午前中に、「夕べの祈り」を公開レッスンで、ということにして、レッスンに臨んだのだった。

で、午前中のレッスン。先般のレッスンで、いきなり「チューニングして!」という"指導"を受けてしまっただけに、今回はちゃんと音合わせしてから始めようということで、全員でFの音(5線の上の方)を出してチューニングをしたのだった... が、これが見事に裏目(苦笑)。全然合わない...。
業を煮やしたラルスから、「全員で吹いてたんじゃ、いつまでたっても合わないよ」という(またしても)"指導"が入り、1人ずつ音を出して、それに隣りの人が合わせるということを順繰りにやっていくという形に。でもねぇ、これでもなかなか合わないの(涙)。結局、これだけで5分以上使ってしまい、あぁ勿体無い。日頃おろそかにしてることのツケが、こういう時に回ってくるということですな。肝に銘じないとね、ウィンナホルン会諸氏。

さて、いざ肝心の曲へ。この曲は、ファンファーレ調の勇ましい部分と、割とロマンティックな感じのメロディックな部分から構成されているので、その辺の対比をうまく出せるかが大きなポイントとなるのだが、なんつーか、最初のうちは「それ以前」っていう感じでね。
各パート2人ずつの、いわゆる"倍管"にしてやってるんで(2番のJ氏@かぶ響のみ1人吹き)、同じパート内での「音」「奏法」が合わないと話にならない。前夜の"自主練"でも、その辺は重々承知して練習してはいたんだが、如何せん「付け焼刃」の悲しさよ、短時間で擦り合わせられるほどのところまでは持って行けず...。結局、あまり音楽的なことを指導受けるというところまで行かないまま終ってしまったのが、ちょっと残念ではあった。
なんつーか、あれだよね、ウィンナだけのアンサンブルって、フレンチ以上に、そういう「意思統一」「奏法統一」の明確化が求められるのかもしれないね。で、そういうところがまず解決していない限り、曲を吹いても「曲」にならないと。

以前に比べれば、短時間のうちに「形」にすることができるようになってきた。"新人"が入っても、それなりに取り込んでアンサンブルできるようにもなった。そう、かなり「柔軟性」は得られてきたと思う当ウィンナホルン会ではあるが、さらなる精度アップを図っていかないと、「聴かせる」アンサンブルにしていくことは難しい。そんなことを考えさせられた午前のレッスンであった。

昼休みを挟んで、午後は公開レッスン。他の楽器の公開レッスンとは違って、主会場の天狗山レストハウスからちょっと離れた、かつ少々狭い会場(メロディーハウス)での開催ということになり、"お客さん"の数がちょっと少ないのが残念。いや、別に大勢に自分たちのレッスンを見て欲しかったというわけではないんだけど、なんか、せっかくの機会だからね、もう少し「賑々しく」行われても良かったんじゃないかなと...。

マスタークラスの生徒さん3人が終って、最後に登場するのが我々。椅子をずらっと並べて、さぁ、いよいよ始まりだ。
が、一応ここでもチューニングをしようということで、諸般の事情から(なんだそれ??)今度はAで音合わせをする。と、またしてもラルス師から"指導"。「ウィンナホルンでAのチューニングしてもまったく無意味。さっきと同じくFか、でなければCでやりなさい」。確かにおっしゃるっ通りでありまして、さっそく観衆の面前で赤っ恥をかいてしまった(トホホ...)。

なんとかチューニングをし終えて、いよいよ「夕べの祈り」を開始する。が、やはりここでも"倍管"にしたことでのアンサンブルの落し所を見つけられない現象に直面。"単管"でやった一昨日のレッスンで指導を受けたことは、後発隊の面々にも伝えてある。だから、全員が頭では理解している。前夜も、そういう面を踏まえて練習をした。でも、それを音として、音楽として形にしきれないのだな。
特に何度も言われてしまったのがバランス。倍管にしただけに、各パートの受け渡しのデコボコがより一層目立つ、気になると。それから、音楽の、フレーズのつながりの悪さも。これも「分かっている」ことなんだけどねぇ...。

結局、こちらも「音楽」の領域に踏み込む手前で時間切れとなってしまい、勿体無かったなぁ、というのが個人的な感想。
昨年は、各パート1人(一部ダブらせたけど)という曲を選択したわけだが、今年は、敢えて倍管でやってみた。でも、そこには、「倍管だからこそ発生する問題」を解決しきれない我々の姿があったわけで、うーむ、まだまだ修行せにゃならんなと...。
今年のレッスンで繰り返し言われてしまったセリフ。
「乱暴・粗野になるな」
「ウィンナホルンはでかい音で吹く楽器というイメージを持たれやすいが、決してそうではない」
「ウィンナホルンを"持ってるだけ"で吹いてる気になってはいけない。満足してはいけない」
これらの言葉を、我々は肝に銘じて行かねばならんのだろうね。

上にも書いたけど、この3年間、ラルス師の指導を仰いだおかげで、以前に比べれば、我々のアンサンブル、ひいては音楽は、随分と進歩した、"大人"になったと思う。でも、そこに留まっていてはいけないと。アマチュアだからと逃げたりもするなと。ウィンナを吹いてる以上は、ウィンナの音を出せ、音楽をせよと。ラルス師は、そういうことを我々に言いたかったんだと思う。
そう、これは将来へ向けての課題なのだ。この課題を少しでも解決していけるよう、しっかりとやって行かないと。そういうことを改めて思い知らされたレッスンであった。

ところで、レッスン終了後、アシスタントの守山先生が「佐々木君、皆さんにキミらがやってることの説明をしてあげなさい」とおっしゃるものだから、図らずもという形で、我々「東京ウィンナホルン協会」の活動と、ウィンナホルンに対する「思い」をご説明することとなった。
まさに「思ってもみなかったこと」だったので、なかなか上手くまとめられなかったんだけど、守山先生にもフォローしていただいたおかげで、我々の「信仰の深さ」(苦笑)を会場の皆さんにそれなりにはご理解いただけたのではないかと思う。守山先生、ご配慮ありがとうございました!

というわけで、午後までにすべての「公式行事」を終えた私たちではあるが、せっかくみんなで集まっているんだから、ということで、夜にも音出しをすることにしたのだった。何せ、全員が集うのは年に1回だけという「織姫&彦星」状態ですからね(例えがそぐわないって?^^;)、こういう時に目一杯吹いておかないと意味がない。で、午後の公開レッスンを"見学"に来た(でもなぜか楽器は持参した^^;)シンフォニカM氏にも加わってもらい、持参した楽譜の音出し大会となったのだった。

まず最初に、昨年の草津で取り上げた「ローエングリン・ファンタジー」をやってみようということに。当然、あれ以来このメンバーで練習はしていない。でも、昨年あれだけ一生懸命やったんだから、それなりに行くんじゃないか。それに自分たちの「進歩」(後退?)の確認にもなるし、というのが選曲の理由。
昨年参加で今年欠席のA氏夫妻@山形が担当した5・6番ホルンに、そのまま、シンフォニカM氏と今回初参加K氏に入ってもらい、あとは昨年と同メンバーでの演奏となったのだったが、いや、これは予想以上に大健闘。とりあえず止まらずに通せたのには、正直言って「感動」した。いや、だって、こんなこと、以前の我々には考えられなかったもの。この3年間は無駄ではなかった。例え、本チャンのレッスンはイマイチの結果でも、ね(^^;

その後は、持ってる譜面の音出し会。実は、最初のレッスンの後、ラルス師から「これどう?」と渡された譜面があったので、まずはそれからやってみないことにはバチが当るというわけで、その2曲、ベートーヴェンの「エグモント」序曲のホルン八重奏版(エーリヒ・ピツカ編曲)と、4ホルン×2という構成のガブリエリの「八声のカンツォーナ」(でいいのかな??)からチャレンジ。
実は、今日のレッスンでこれら2曲を取り上げる計画もあったので、先日、先発隊だけで音出しをしてみたのだった。が、答えは「無理」。どっちの曲も、今の我々には荷が重い内容で、とてもレッスンに乗せられるような形にはならないと、諦めたのだった。
しかし、9人揃って音出しをしてみると、これがまぁ、なんとか通ることは通るんだな。もちろん、ただ単に「通った」に過ぎず、アンサンブルという部分でどうのこうの言える状態ではないのだけど、でも、無茶苦茶でまったく話にならないという状態でもない。
というわけで、これは来年までの「宿題」ということにしようと決定。借りた楽譜をコピーさせてもらうことにしたのだった。が、この話には"オチ"があって、この後の宴会の際に、ラルスに原譜(と言っても、これもコピーなんだが)を返そうとしたら、「これはオマエたちにあげるつもりで持ってきたんだから、返さなくていい」と。さらには「エグモント」の表紙にメッセージまで書いてくれて(来年まで練習しとけ!って内容^^;)、いやはや、なんともありがたい話。ほんと、ありがとうございます、ラルス師匠!

そんなこんなであっという間に時間は過ぎて、最後にもう一度「ローエングリン・ファンタジー」を演奏して、それを録音。で、最後にみんなで記念写真となったのであった。
というわけで、ローアングルからのちょっと不気味な写真ではあるが(メガネがみんな光ってるし^^;)、今晩の参加メンバー。前列左から、重鎮F氏、私、シンフォニカM氏、やっと最若手から解放(^^;U氏、後列左から、かぶ響J氏、初参加K氏、鳥取在住O氏、"日本一"のウィンナホルン吹きN氏(何が"日本一"かは、写真を見れば分かるんですが^^;)、高知在住なれど現在かぶ響所属A氏の9名(盟友T氏は、この時点で仕事先から草津へ移動中。今年初参加のかぶ響新人O氏は、午後の公開レッスン後一足先に帰宅)。ま、ちょっと時間不足ではあったけど、楽しいひと時でありました。

夜は、ホルン科の「打ち上げ」。というわけで、"いつもの"(^^;おかめ寿司にホルン科関係者が一同に会し、大宴会となったのであった。
席上、思わぬ展開で、守山先生、アトリエハーロー木村氏からの「叱咤激励」を受けることになってしまったのだったが、ま、これは、我々への前向きかつ暖かな励ましなのだと思うことにして、まずは今年の草津、無事終了で何よりだったと。

これでお別れとなるラルスとは、おかめ寿司の前で堅く握手。「次はいつウィーンに来るんだ?」という問い掛けに、「一応、私のプランとしては...」と答えると(一応、「思うところ」があるもんだから...)、「ほんとか!? その時はウチに泊まれ」というありがたいお言葉。まぁ、それはあくまでも社交辞令であることは承知しているんだけど、でも、ほんと、ありがたいご配慮ではありますよね。

というわけで、長かった1日はこれでおしまい。あー、疲れた!



8月27日(金)

今日の1枚
すべてを圧倒する存在感。やっぱり凄かった「ソナチネ」

今日は夕方の演奏会の話から。
昨日、リハーサルを見学させてもらい、ただただラルスの「凄さ」に圧倒されたR.シュトラウスの「ソナチネ」の本番だったわけだが、その結果はというと... やっぱり「凄かった」のね(^^;
確かに、昨日のリハーサルの方が、リラックスしていたからこその"余裕"があったから、演奏の精度はより高かった。でも、本番の演奏もほとんど完璧に吹いたわけで、まずそのことに対して「ブラヴォー!」を叫ばなければならないだろう。だって、ほんとにとんでもない難曲なんだからね、これ。
しかし、本当に「凄い」のは、そういう技術的なこと以上に、その「音楽」なのだと思う。
昨日も書いたように、「何がやりたいのか」がきちんと感じられる演奏。聴けば"納得"せざるを得ない音楽表現。彼の演奏からは、そういう「主張」がしっかり感じられる。そして何より、その「音」の豊かなこと。そして「強い」こと!
まさに「すべてを圧倒する存在感」。彼が1人(ウィンナで)加わっているだけで、間違いなくそこには「ウィーンフィルの音」「ウィーンフィルによるR.シュトラウスの音楽」に"近い"(^^;世界が広がっていた。
音を以って知らしめる。音楽を以って納得させる。昨日の彼の演奏はその典型であったと、そう言えるのではないだろうか。でも、これって、ほんとに「凄い」ことだよねぇ。

しかし、それだからこそ"残念"だったことがある。それは、他のホルンがフレンチだったということ。
別に、他のホルン奏者の皆さん(守山先生も含めて)の演奏がよろしくなかったというのではない。フレンチホルンだからダメ、というのでもない。皆さんそれなりにしっかりと演奏されていたし、いい音も出ていた。それは間違いない。
でも、「違う」のだよ。音が。音楽が。感じてるものが。表現したいものが。
それでも、守山先生はね、隣のラルスの「したいこと」「してること」に対して、かなり積極的に反応されてたと思う。だから、この1・2番コンビの演奏には、私はある種の「心地良さ」を感じることができた。でも、3・4番のお二人については、これはもう明らかに「違う」と。

リハーサル見学の時点でも、その「違い」は十分に感じられていたのだが、あの時には、ラルスの圧倒的な存在感を楽しめればそれでいいやという思いがあった。でも、いざ"演奏会"という場で聴いてしまうと、セクションとしてのまとまり、というか、ラルス1人ではなく、セクションみんなが同じ方向性を持って音を出す、音楽を表現するという部分の欠如が、なんとも勿体無く思えてしまったのだ。
全員がウィンナホルンだったら。ホルン全員がウィーンフィルのメンバーだったら。いや、演奏者全員がウィーンフィルのメンバーだったら...。そんな中で、ラルスのあの音を聴くことができたら、それはまたこの上ない喜びであったろうなと、そう思った次第。
そこでお願い。カメラータさん。いやさ、井阪社長! ウィーンフィルの現役団員で、この曲を録音してくださいよ。メジャーレーベルに多くを期待できなくなった今、そういうものを残すことこそ、御社の使命なんじゃないかと思いますが、いかがでしょう??

ところで、今日の演奏会には、「お客」として、シンフォニカのホルン奏者にしてタワーレコード勤務のA氏が来ていたのだが、演奏会終了後に挨拶しに行ったら、「いやぁ、いい演奏でした。このR.シュトラウスを聴けただけでも、草津に来た甲斐がありましたよ」と握手を求められてしまった。で、私も調子に乗って「ありがとう」なんて答えてたりして。横に誰かいたら、「オマエはラルスじゃねーだろっ!」ってツッコミを入れられたろうね、ありゃ(^^;

さて、本日のウィンナホルン会の行動だが、通常午前中に行われるマスタークラスのレッスンがお休みだったため(実は、それを知らずにレッスン場でみんなが来るのを待っていたんだが>トホホ...)、その時間を"自主練"に充てて、各自個人練習(写真は、その時間を利用して行った新人O氏への"教育"風景。決して"シゴキ"や"イジメ"ではないので、念の為^^;)。

午後になって後発隊が合流し、これでやっと「全員集合」(ただし、盟友T氏は、仕事の都合で一時帰京中)。
以後、明日の朝と午後に行われるレッスンに向けて練習を続け、夜9時にひとまず終了(おいおい、随分と簡単にまとめちゃうじゃないの^^;)。

ペンションに戻り、ホルン科の宴会があるんだろうということで連絡を待つも、まったく音沙汰なし。関係者に電話しても誰も出ないので(昨日誘いを断ったのがいけなかった??^^;)、ならウィンナホルン会だけで宴会をやろうということになり、昨日に引き続きペンションで軽く飲んで、0時過ぎにお開きとしたのであった。
でも、ま、今回初顔合わせのメンバーもいますからね。我々だけでの宴会は、それはそれで良かったのではないかと思います。ウィンナ話(別名「宗教論」^^;)にも花が咲いて楽しかったしね。

というわけで、今日はこれでおしまい。明日は、今回の"晴れ舞台"、公開レッスンが待っている。果たしてどうなりますことやら。ま、生き恥だけは晒さないよう、しっかりとやりましょ。



8月26日(木)

今日の1枚
「夕べの祈り」をしっかり叩いていただきマシタ

本日のメインイベントであるレッスンは、マスタークラスの生徒さん2名が終わった後、10:30からスタート。
昨日、なんとか"付け焼刃"した「夕べの祈り」で臨んだわけだが、はじめに1回通した後の最初の"ご指導"の言葉が「まずはチューニングして」だったのにはさすがに赤面した。これじゃ、音楽以前の問題だもんねぇ...。
恥ずかしいスタートとなったレッスンではあったが、しかしその後は、いつものように丁寧な指導をしていただいたおかげで、非常に充実したものとすることができた。

レッスンの成果を敢えて一言で言い表せば、「音楽が大人になった」ということだろう。
和音構成上のバランス、メロディーを取った時と伴奏に回る時の音の浮沈、メロディーラインの受け渡し等々、この曲を演奏する時に留意すべき事項は十分に承知しており、前日の練習の際にも、散々その辺をやりあったのだ。が、それをどうやって「形」にするかというところで、我々はイマイチ考えが及ばない。分かっちゃいるけど形にできない。だから、音楽が自然に流れない、"大人"にならない...。
しかし、ラルス氏のレッスンは、そういった演奏上・音楽表現上のポイントを、非常に丁寧かつ具体的に解き明かしてくれるのだ。だから、我々は、それを素直に受け入れることができ、結果、6人(パートは5本だけど)で演奏する音楽が、実に自然なものになる。言ってみれば「大人の音楽」になると。この喜びは、そりゃもう、何物にも代え難いものであるわけなんですな。

正味1時間程のレッスンだったが、私自身はとても満足。5分程度の短い曲だから、レッスン時間が余っちゃうんじゃないかとの意見もあったのだが、なーに、そんなことはないのだ。形ができてなければないなりに、できてくればそれなりに、叩いてもらうことは山ほどあると。そんなに音楽は甘くないってことですわな。
というわけで、明日合流する"後発隊"も加わっての土曜日の公開レッスンの際には、もう1度この「夕べの祈り」を見てもらうつもり。曲も有名だから、お客さんにとっても好都合でしょう、きっと。
→しまった、よくよく考えたら公開レッスンのことって、まだ触れてなかったんだ。あのですね、土曜日の午後に、お客さんを前にしての公開レッスンというイベントがあるのですよ。で、それに、マスタークラスの3人の生徒さんと共に我々も出場すると。なんか、大それたことになっちゃって、ちょっとドキドキしてるのでもありますけどね...。

午後は、昨晩に引き続き、明日行われる演奏会(管楽アンサンブル)のリハーサル見学。ラルスの"指示"で、彼の後ろに座っての見学となったのだが、いやぁ、これが実に楽しかった。
曲は、R.シュトラウスのソナチネ第1番「傷病兵の仕事場より」。ご承知の方も多いと思うが、これはかなりの難曲で、ホルン(4本)など、同じ作曲家の協奏曲第2番ばりの"超絶技巧"を駆使しなければならない部分も多々あるのだ。また、なかなか実際に耳にする機会のない曲でもあるので、これをナマで、しかもラルスの演奏で聴けるってのは、ほんとに嬉しいこと(ちなみに、当団には、ラルスも絶賛のプレヴィン盤>名演!あり。ホルンの1番はトムベック)。

で、そういうこちらの期待にしっかりと応えてくれるのが、またラルスなんだよなぁ。
いやほんとに、この演奏での彼は「凄い」の一言ですよ。例の超絶パッセージにしても、ハイトーンにしても、朗々たるソロにしても、すべて「凄い」。つーか、「カッコいい」のだ、とにかく。
左の写真のような位置で聴いていたので、彼の音がすべてこちらに向かって飛んでくるわけだが、その音の密度の濃さ、そして何より音楽の「強さ」に、ただただ圧倒されるばかり。
何がしたいのか。何を言いたいのか。彼の吹くホルンからは、それが濃厚に感じられ、その一つ一つが、私自身の心の中にある音楽、つまりは「当団の音楽」であり「ウィンナホルンで奏される音楽」と一致するから、私にとってはまさに「至福の時」となるわけなのだ。
ほんとにさぁ、ウィンナホルンに対して何らかの偏見、とまでは行かなくても、懐疑的なものを持っている人がいるんだったら、あの位置で、彼の演奏を聴くべきだと思うよ。あれだけ情報量の多いホルン演奏が可能なんだから、「ウィンナは不自由」なんてこと、絶対にないもの。
とにかく勉強になったし、何より楽しかった。そして、私にとっては、より一層「確信」を強めることができた時間だった。ほんと、やっぱホルンはウィンナですよ、はい(またそれかい!って?^^;)。

ところで、この曲ではラルスにアシスタントが付くのだが、それを務めるのが、マスタークラスの生徒にして私の「密偵」(^^;でもあるT嬢。ラルスから直々に"ご指名"(しかも、事前にメールで^^;)されての登板ということですからね、たいしたもんです。いくら仲良くしてもらったところで、我々にお呼びがかかるってのは絶対に有り得ないこと。やっぱホルンが巧くなきゃ、そういう「いい思い」はできないってことですな。もっとも、当のT嬢は、「ラルスの横で一緒に吹くってことだけで緊張しまくりですぅ」とのことでしたが。

夜は、次回のレッスンに備えて何曲かの音出しをし、その後はペンションに戻って、我々だけで軽い宴会。体調を崩している人もいるんで、今晩はラルスとの宴会は遠慮しておこうということになったのだ。
が、そこに私の携帯宛てに電話が入り、出てみると当のラルスから。「どこにいるんだ?『おかめ』に集合だぞ!」だと(^^;。事情を話して分かってもらったのだが(私の英語で分かったのかな??^^;)、それにしても、ちゃんと気を遣って誘ってくれるんだから、ありがたい話だよね。感謝感謝ですよ、ラルス先生には。



8月25日(水)

今日の1枚
相変わらずの汗かきと相変わらずの飲んだくれでスミマセン(^^;

午前8時過ぎに家を出て、途中仲間を拾いながら一路草津へ。途中大過なく移動できたので、午後2時半には到着。さっそく「入学」の手続きを済ませ、(「付け焼刃」練習のために^^;)夜の練習場の予約をしようとすると、「夜はもう一杯です」との返事。これにはさすがに青ざめた。だって、明日(26日)の午前中に1回目のレッスンとなるわけだから、このままでは、練習なしでいきなり「本番」ということになってしまう。いくらなんでもそれは無茶だ。
「狭いところでもいいんで、どこか空いてないですかなぇ」。とにかくなんとかしないとと粘ってみると、担当のお姉さん曰く、「今から1時間だったら空いてるとこありますよ」。
なにぃ!? "今"からぁ??
昨年までは、午後の時間帯に練習場を貸し出すということはやってなかったと思うのだが、今年はそれがあるらしく、「今から」だったら1部屋使えるらしいのだ。こりゃもう、背に腹は代えられませんからね。その部屋を貸してもらって、さっそく音出し開始。到着早々いきなり練習になるとは...。思わぬ展開でのスタートを切った、'99草津アカデミーなのであった。

で、肝心のレッスン曲なのだが、いろいろ考えた結果、フンパーディンクの「夕べの祈り」とした。オーソドックスな選曲ではあるけれど、音の重なりとか、メロディーの受け渡しとか、いろいろ勉強になる要素も多いからね。
よって、以後は「夕べの祈り」三昧。なんのことはない、夜の時間帯も、練習場がキャンセルで確保できたので、ずーっと「夕べの祈り」を吹いていたと、まぁ、そういうわけで。
で、それだけやって、レッスンに臨む準備が整ったかと言えば、「ある程度」というところか。まぁ、「付け焼刃」であるのは事実ですからね、なかなかまとまりきらないですよ。でも、演奏会に出るんじゃなくて、レッスンを受けるわけだから、不完全なものを"ラルス先生"に叩いてもらうことにこそ意義がある。ということで、まぁ、今日のところはこれでよろしいのではないかと(そう思わないとドキドキいて眠れない^^;)。
ちなみにパート割は、1アシ:盟友T氏、1番:重鎮F氏、2番:かぶとやま響J氏、3番:今年初参加K氏、4番:かぶとやま響新人O氏、5番:私の布陣。果たしてどうなりますことやら。結果は明日の当欄でご報告ということで。

夜の練習終了後は、28日に行われる演奏会(管楽アンサンブル)のリハーサルを見学させてもらい、それが終わったところで、ようやくラルスと「ご対面」(2枚の写真はその時のもの)。
夕方の演奏会から引き続いてのリハーサルで、夕飯を食べ損ねたという彼の希望から、宴会はホルン科の"ホームグラウンド"である「おかめ寿司」で。我々も合流させてもらい、久々に彼との会話に花を咲かせたのであった...って、ほとんどは私からの「取材」だったんだけどね(^^;
で、いろいろ「新ネタ」も入手できたんだけど、その辺については、後日改めてということで。いや、だって、もう午前3時半なんだもん。いい加減にして寝ないと、明日(っていうか今日^^;)のレッスンに差し障りが出るからね。
つーことで、草津アカデミー日記の1日目は終了。オソマツ様でした。



フォルカーの部屋メインページ