ウールマン(Uhlmann)
通常はホフブルク内の楽器博物館に展示されているこの楽器だが、ハラハ宮(Palais Harrach)で開催中の「音楽の使節(Die Botschaft der Musik)」展の会場に移設展示されていた。実は、それを知らずに、ウィーン到着早々にホフブルクへ行ったのだが、お目当てのこの楽器がなく(他にもない楽器がたくさん)、係員のお兄ちゃんに聞いてもラチあかずで途方に暮れたのだった。この展覧会に行って「なぁーんだ」ってことになった次第。
さて、この楽器についてだが、実はあまりよく知らない(→説明書きがあったのだが、ちゃんと読んでこなかった>すんません ^^;)。ウールマンは、ナチュラルホルンの時代からウィーンを代表する楽器工房だったようなので、この楽器もその流れを組む何代目かの人物の手になるものだと思う。今世紀初頭の楽器だったと記憶している(→極めて曖昧)。
見た目上の特徴としては3番管の形状が、現行一般のウィンナホルンとは違っていることで、具体的には、下のWIENER HORNMANUFAKTURの写真を参考にされたし。最近、当団メンバーの何人かも使っているユングヴィルト(Jungwirth)もこのタイプ。
ハーグマン(Haagman)
←これじゃなんだかわからないが、これも「音楽の使節」展に展示されていたウィンナホルン。ただし、実際に吹けるものではなく、"自動吹奏装置"が付いた実験用の楽器(らしい)。写真右手、ボーゲンの先にうっすら見えているのがその装置で、これで息(空気)を吹き込むと同時に、唇の振動と同じ働きをさせるらしい>ちょっと想像できない図だけど。この装置を使い、同一条件下での各楽器の音響特性などを測定したというわけだ>そういう実験があったという記事を何年か前のパイパーズで見た覚えがある。
その楽器だが、見た目はガンターに似たれっきとしたウィンナホルン。ただ、それらしく作った、という感がなきにしもあらずで、やはり、あくまでも実験機であると考えた方が良さそう。だいたいにおいてハーグマンというメーカーも聞いたことがないし。
この展示で特筆すべきことは、ウィンナホルンとフレンチホルンの違いを、映像と音でレクチャーしてくれるツールが付いていたことで、これは、ワタシのウィンナホルン解体新書もびっくり(→遠く及ばず?)の好システム。このソフト売ったりしないのかなぁ?
入場料90シリングのこの展覧会。作曲家の自筆譜も多数展示されていて、とにかく一見の価値あり(→シェーンベルクの燕尾服なんてのもあったし)。さすが音楽の国オーストリア、持ってるものが違う。4月1日までの開催だから、それまでにウィーンへ行く方は、ぜひ立ち寄ってみるべし。
ウィーン・ホルンマニュファクチャー(WIENER HORNMANUFAKTUR)
夜、オペラの帰り、ホテルへ向って通りを歩いていると、楽器屋の店頭にこのような状態で飾られて(?)いるのを発見。上記ウールマンと同じ管体形状。内バネのメカ。クランツに刻まれたWIENER HORNMANUFAKTURの文字。こりゃ年代モノのウィンナホルンだぜ!"買い"だぜ!と一同(→誰?)色めきたったのも無理はない。
しかし、翌日この楽器屋を訪ねると意外な事実が判明。なんと"美麗"カタログまで存在する、立派な現行品だったのだ(←ただし、この写真の楽器は中古品)。値段は、新品で50万円見当とか(この中古は約30万円)。他社品に比べれば安い。やはり"買い"か?
まぁ、吹いてみなければわからない。あいにく店にホルン用のマウスピースがなく、リムがプラスチックという何の楽器用かわからない代物で試奏させてもらったのだが、その時点での感想としては、「なかなか吹きやすい」というものだった。気持ちはかなり"買い"。でも、"専門家"の意見も聞いてみないと、と、とりあえず店をあとにした。
で、その夜、"専門家"シュトランスキーにカタログを見せると、即座に頭を抱えて「ダメ、これはダメ!」。聞けば、チェコのブルノにいるLIDLという職人が作っているものを、ウィーンの代理店がWIENER HORNMANUFAKTURの名前で売っているものとのこと(→OEMってやつだ)。彼曰く、「材質が紙みたいな粗悪品。こんな楽器を買うのは金を捨てるようなもんだ」。しまいにゃ「クソ」とまで言って罵る始末。なんでまたそこまでクサすのかと思ったら、なんとヤツはこれを買ってしまったんだとか>そりゃ、怒るわな。
その後の情報では、ウィーン在住のアマチュアに使っている人がいるそうだけど、まぁ、それなりのものでしかないということだった。世紀の大発見かと盛り上がったけど、結局のところは「チャンチャン!」てなところ>しかし、「なかなかいい」と判断したワタシの眼力って、いったい?←ウィンナホルン鑑定士にはなれそうもないね、これじゃ。
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