竹

最近読んだ本についての独り言

竹


独り言<その2>



ヴィク・ストーリーズ/サラ・パレツキー(早川文庫)(2000/11/27読了)
 今まで父親からヴィクのシリーズを全部借りていて、このシリーズの短編集ということで図書館から借りてきました。図書館は便利。でも、やっぱりすぐに読んでみたい本は予約なんですよねー。
 これに登場してくるヴィクは、女性の私立探偵。空手使いで、射撃の腕もそこそこ。なによりも度胸と、怠け癖が闘ってたりしている辺りには、人間味を感じます。短編なので、実にあっさりと、まるでホームズのように犯人が分かってしまうのがちょっと残念ですが、ヴィクの行動力については、変わらず。働いている女性からの人気が高い、との評判もうなづけます。


鬼火/横溝正史(出版芸術社)(2000/11/7読了)

 ずっと昔から読みたくて、でも読んだことがなかった、横溝正史の短編集です。
 先に京極夏彦を読んでいる所為か、独特の丁寧な語り口は抵抗なく、すとん、と入ってきました。また、横溝正史が書くと殺人の場面にしても、スプラッタの生々しさよりも、無声映画のような情景描写を思わせる静かさ。品の良さに目から鱗が落ちました。今度はちゃんと金田一耕助が出てくるシリーズを読むつもりです。


接触/パトリシア・コーンウェル(講談社文庫)(2000/11/4読了)

 検死官シリーズの第8作目。個人的にはどんどんベントンとの男女関係がややこしくなってきているのが読む気をそいでいて、ずっと読み始めなかった本です。図書館から借りてくるようになったので、思い切って読みました。
 今回は、ゴミ処分場から胴体だけの遺体が発見されるという、猟奇的な事件から始まります。すっかりスカーペッタも偉くなってしまい、年令を感じる辺りがちょっと淋しい。代わりに、姪のルーシーがどんどん大きくなって、FBIでも特殊捜査官として活躍します。最初の「検死官」のインパクトに比べると、猟奇殺人という部分は一緒でも、人物描写が優しくなったような感触。これを食い足りない、というかどうかはなかなかに難しい問題。う〜ん。


フロスト日和/R.D.ウィングフィ−ルド(創元推理文庫)(2000/10/26読了)

 クリスマスのフロスト、のフロスト警部のシリーズ第2作。
 なんでもかんでも、やりかけで思いつきで捜査を進め、かつ、事件は忙しく起こっている。なんか、すごく忙しい街だなぁ・・・という感想を持つくらいに、小さい事件や殺人が怒濤のように起こっていく。しかし、なによりも、それを全部やりかけで次々に事件に首を突っ込んでいく(というか、突っ込まされる)フロスト警部の不眠不休の活動がすごいです。これだけの事件がおこっている様は、まるでテレビドラマの「ER」もさながら。こちらも記憶力との勝負でございました。しかし、なかなか面白かったです。


奇妙な花嫁/E・S・ガードナー(早川文庫)(2000/10/17読了)

 テレビの海外ドラマでも有名な、ペリー・メイスンのシリーズ。
 陪審官が制度としてなりたっているからこその、弁護士の演義の見せ所、という気がします。全体としては、積極的な攻めはありませんが、着実に話を自分の方へと向けていってしまう演出、うまいです。よく考えたら、テレビでやっていたドラマ以外なので、初めての活字のメイスンです。奇想天外なトリックなんてないので、そういうのよりは、法廷での心の機微を追う方が楽しいと思います。

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矢文ue2@tk.airnet.ne.jp