008 懐中時計 1998.09.19

愛用の懐中時計 そう、View from the Hillの007 時計で登場した、あの使えない懐中時計です。

フレームは木製。手巻式。文字盤は今流行りのスケルトンで、いくつものギアが一生懸命動いてるのがわかる。当然、止まっている時は、止まってるのがわかる。
いくら、スケルトンでも、緑色の基板が見えたところでなんの面白味もない。
スケルトンは機械仕掛けの製品に限る。

わたしは、こいつを時計として見ることはあまりない。あまりにも信頼性がないからだ。
しかし、こいつの時計としての体面を保つためと、いざという時のために毎朝ゼンマイを巻いて、時刻を合わせている。
どこか、タマゴッチのような魅力があるのだろう。
毎日、ゼンマイを巻いてやらないと死んでしまう。
どこか、機嫌が悪いとボイコットする。
でもいつも、チッチッチッチ...とコミカルに動いている。

多くの場合、機能以外に魅力がある時計は高級であったり、奇抜なデザインであったりお洒落な装飾品である。
こいつの場合、確かに木製のフレームでメカが露出しているという点ではなかなかデザインとしてもいい線いってると思う。
が、腕時計ではなく、懐中時計なのである。
時刻を見る時にしか人の目に触れることはない。
しかも、わたしがこいつと目を会わせるのはたいてい、朝時刻を合わせる時である。
お洒落には程遠い。
でも、こいつのお陰で、腕に時計をつけないというお洒落ができるようになった。


好古好新 | 007 | 009


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