私フォルカーは、8月25日から29日まで、仲間と共に草津夏期国際音楽アカデミーに参加しました。
私たちの毎日の様子や、日々感じたことを、気の向くままに書き記したのが、この「つれづれ草津」です。
が、「気の向くまま」ゆえ、現地からの更新はたったの1回(苦笑)
なるべく早くに諸々のご報告をしたいと思いますが、いつもの如くの「遅筆」ゆえ、
もしかしたら何か書いてあるかも、くらいのノリで、時々チェックしてみてください(^^;

●過去の記録●

草津想い出アルバム(1997年)   '98草津アカデミー日記(1998年)

  '99草津アカデミー日記(1999年)   草津徒然草2000(2000年)

 
8月28日(火) 2回目レッスン
 
今日の2枚
8/28(火)午前に行われた2回目のレッスン風景

 
1回目のレッスンで(初めて??)"お褒めの言葉"をいただき、大いに士気を高めた私たちではあったが、だからと言って、問題点がまったくないわけではなく(当たり前だ)、アンサンブルの精度をより高めようと、引き続き自主練習を続けたのだった(1回目のレッスンが行われた日曜日は、レッスン後の午後と夜。翌月曜日は、当アンサンブルの音楽的支柱であるN氏@日本一が仕事で都内へ戻ったので、日中はオフにしてN氏が"帰還"後の夜のみ。しかしまぁ、よくやりましたよ、ほんと)

自主練での主なポイントとしたところは次の2点となるか。1.音楽を停滞させず前へ進める。2.音の出と終りの処理を合わせる。
どちらも「当たり前」のことなのだが、これがなかなか思うようには行かないもの。指揮者を置けばかなりの部分で問題が解決するのだろうが、我々は敢えてそれをしていない以上、演奏者である自分たちで、自主的にそれをクリアして行かねばならない。
誰かの出方を見て合わせる、という形でやって行くと、音楽はどんどん停滞してしまい、聴いてる方はもちろん、やってる側も、ただ単に「楽譜の音を出しているだけ」という状態になってしまうわけで、これが「わかっちゃいるけど難しい」ポイントとなるわけだ。
それでもなんとか各自の思いを結集して、それなりの形に仕上げたつもりはあった。特に、ジークフリートの葬送行進曲部分では、それまでインテンポで先へ進めることを重視した音楽作りをしていたが、敢えてテンポを落として、まぁ、一種の「見得を切る」ような表現をすることも自分たちで決めたりもして、これはまぁ、今までの我々にはない「進歩」だったかもしれない。

かくして行われた2回目のレッスン。結論を先に言えば、これまでにない充実ぶり、ということになろうか。前回、諸事情から予定よりも短い時間でレッスンが終ってしまったため、「次回は45分はやるから」というラルス師からの言葉をもらってはいたのだが、ふたを開けてみれば、それをも大きく上回る1時間15分ほどのものに。
はじめ、前回の続き部分から一通り曲を進めてもらい、部分部分で細々とした指導を受けつつ最後の部分をやり終えたのが、すでに予定終了時間を過ぎた昼過ぎ。が、ここでラルス師から「それじゃ最初から通して」との(信じられない^^;)言葉。一休みしてから全曲を通し、これで終りかと思ったら数ヶ所のやり直しを命じられ、で、結局、終了したのは12時半頃になったと。
しかし、我々にとって本当に嬉しかったのは、この「ダメ出し」なのだな。1回通せ、という予定終了時間後の指示も嬉しかったけど、「ハイご苦労さん」で終わらずに、さらにダメ出しをしてくれた。
これは、我々のアンサンブルが「これ以上やっても無駄」な状態だったのではなく、「もう少し詰めればより良くなる」と思わせるだけのものになっていたからこそなのであろうから、これはもう、何物にも替えがたい嬉しさであったわけで、一同感激のうちにレッスンを終了したことは言うまでもなかったのだった(かなり疲れたけどね^^;)

今回のレッスンが例年と大きく異なった点は、ラルス師からの指導が、「音楽」部分に集中したということだろう。以前あったような、音の出し方だとか、音色のイメージだとか、果ては音程合わせ(トホホ)などという、「アンサンブル以前」の問題への言及ではなく、そういった部分をクリアした(と思われる)状態からのレッスンを受けられたこと。これが、今年の大きなポイントだったと思う。
そして、その指導の根幹を成していたことは、上記した「音楽の前進性」と、そして「表現の幅」ということになろうか。1回目のレッスンのレポートにも書いたように、「指輪」の音楽だから、それぞれの場所にそれぞれの「ストーリー」がある。だから、それを意識しながら音楽を作るということ。今回も、この点に関する指示・指導を受けながらのレッスンとなった。
そして、自主練で「見得を切る」ことを決めた葬送行進曲部分。ここに至っては、さらに大きく、ある種"オーバー"に見得を切ることを指導され、結局のところ、非常に大きな「音楽」に作り上げることができたのは、とても大きな収穫だったと思う。
ただ、その分、音楽の「前進性」はスポイルされてしまった部分があったのも事実で、私が担当した最低音パート(7、8番)がメロディーを担当して盛り上げて行くところなどが、後でテープを聴くと、音楽が"後ろがかり"になってしまってもいて、この辺は個人的にも反省点ではあったのだが。

それにしても、このように「大人」の音楽、大人のアンサンブルを作ることができるようになったことは本当に嬉しい。それもこれも、毎年懲りずに指導を続けてくれたラルス師および守山先生のおかげではあるのだが、しかし、それと同時に、私は『継続は力』ということも非常に強く実感したのであった。
ラルス師の指導を受けるだけでなく、他の受講者への彼の指導も見学し、さらに、リハーサル部分から彼の演奏者としての姿も間近に眺め続けてきたこの5年間。
そうやって彼の「音楽」や音楽に取り組む「姿勢」を目の当たりにしてきた我々にとっては、非常に「イメージ」が作りやすくなってきていたと思うのだな。どういう音とどういう音楽がその楽譜から導き出されるのか。それを、参加メンバーがそこそこ高い次元で共有しあえるようになっていたのではないか。だから、確かに関東・関西それぞれで事前練習は行っていたものの、初めて全員が顔を合わせた草津で、短時間のうちにそれなりの形まで作り上げることができたのではないか。
そして、そこからさらに「草津での時間」を共有しあうことで、より音楽的なアンサンブルを作り上げることができたのではないか。
まぁ、少々自己満足ぎみな総括ではあるのだが、それでも、素直にそんなことを考えた一連のレッスンなのであった。

5年前の我々は、ラルスが草津に来るそうだからレッスン受けがてら会いに行ってみっか、程度の意識だった。いや、正直そんな感じだったのですよ。でも、それを1年1年続けてきた結果、彼のウィンナホルン奏者としての様々な「思い」を共有できる立場になることができた(ように思う)。そして、その思いを自分たちのアンサンブルの中にも活かせるようになった(のだと思う)
私はねぇ、今年のレッスンは、そういう意味でも非常に価値のある、そして意義深いものだったと思いますよ。我々「東京ウィンナホルン協会」の新たなステージの幕開けになったと言ってもいいかもしれない。
ちょっと興奮して力が入ったけど(笑)、これが今年のレッスンの総括といったところ。

しかしねぇ、こういう「楽しいこと」ができるようになると、やはり、これをきちんとした形で「発表」したいと思うのもまた事実なわけで、実は、今回の草津参加者間で、来年に「演奏会」を行おうということが決議されたのでありました。
前々から何度も話が出ては立ち消えになっていた演奏会構想だけど、こういうアンサンブルができるようになったのであれば、なんとか実現させられるだろうという魂胆。
詳細はこれから詰めるのだけど、1年後あたりを目処に行うことになるはず。皆さんにも追ってお知らせしますので、その節は何卒よろしくお願い申し上げたい。

それにしても、今年のレッスンは充実していた。そして楽しかった。ラルス師はもちろん、守山先生、そして、2回目の際には守山先生に代わって通訳をしてくださった森さん(神奈川フィル)に大感謝。ありがとうございました。
そして、我が仲間、東京ウィンナホルン協会の面々にも感謝。良かったね、みんな。「背水の陣」で臨んだ甲斐があった(!?)

 
 
8月26日(日) 1回目レッスン
 
今日の1枚
8/26(日)午前に行われた1回目のレッスン風景

 
只今、8月26日(日)の午後4時半。午前中に我が東京ウィンナホルン協会の1回目のレッスンが無事(?)終了し、午後の自主練習を終えて宿に戻って来たところ。今の時間、コンサートホールではエルンスト・ヘフリガーの「歌曲の夕べ」が行われており、仲間の何人かはそちらを聴きに行ってるのだけど、私は宿に帰って来て、草津からの初レポート(笑)を書き始めたと、そういう次第(ちなみに、一緒に宿に戻ってきたメンバーは、全員私の回りで寝ています>笑)
で、そのレッスン。諸事情から時間が押してしまい、当初予定よりも短い25分程度のものになってしまったのだが、それでも、非常に勉強になる内容で、十分に満足できるものだった。

というよりも、今回まず何より嬉しかったのは、最初に全曲を通した後で、ラルス、守山両師匠から「例年に較べて大変よろしい」というお"褒めの言葉"をいただけたことで、これで、今回の当初の目標の一つは達成されたと言ってもいいかもしれない(笑)。まぁ、それは(半分)冗談なのだが、それでもやはり、良い方向の評価をもらえるというのはね、それはそれでとても嬉しいこと。まずは何より、と胸をなでおろしたのは言うまでもないことなのでした。もっとも、「例年に較べて」と言われちゃったわけだから、昨年までが如何に「問題」だったかということでもあるけれど...(苦笑)

今年のレッスン曲は、ホルン八重奏の「ジークフリート・ファンタジー」。ワーグナーの「指輪」の中のいくつかの部分を組み合わせて1曲(12分程度)にまとめたもので、往年の当団名ホルン奏者シュティーグラーの手によるもの。これを、低音パートにアシスタントを付けての9人で演奏しているのだが、恒例により(?)、今回のパート割を以下に記しておきたい。ちなみに( )内は、私が当ページ内でいつも使っている呼称ですので、ご参考までに。

1:中根(N氏@日本一)、2:藤本(重鎮F氏)、3:吉田(かぶ響J氏)、4:北脇(元不協和音K氏)、5:佐藤(名手S氏)、6:大湾(O氏@最若手)、7:秋元(かぶ響A氏@高知県宿毛市在住)、7-8アシ:田中(盟友T氏)、8:佐々木(フォルカー)
※上記写真の並びもこの順番。

今回のレッスン曲を選んで正解だったと思ったのは、曲の部分部分に「意味」があること。つまり、「指輪」の中からの抜粋になるわけだから、それぞれの部分の"出典"があり、それを解説してもらいながらのレッスンを受けられるということが、非常に勉強になると。「ここはライン川の中を泳ぐ人魚が歌っているメロディーだ」とかって解説は、やはり演奏する上での意識付けにつながるから、それを知って演奏するのと知らないのとでは大きく違ってしまう。我々なりにも、オペラを聴いたりして事前勉強はして臨んでいるのだが、改めて"レクチャー"を受けながらのレッスンを受けると、やはり出てくる音と音楽は大きく変化する。
昨年のレポートにも書いたと思うが、やはり「曲」がしっかりしていないと、レッスンの質が上がらないわけで、今回は、そういう意味でも正解だったのだと思う。

とは言え、まだまだ問題点も多いわけだから、それは、火曜日(28日)に行われる2回目のレッスンまでに少しでも解決できるよう、頑張らないと。でもね、練習を行うごとに、響きが収束し、かつ、音楽の質が向上してることは十分に感じられているから、もっともっと良くできると思う。うむ、しっかり励みましょ。

ところで、毎年恒例の「おかめ宴会」は今年も行われたのかどうか、とても気にしていらっしゃる方も多いことでしょう(いねーか!?^^;)。実は、まだなんですわ。
我々にとって初日だった昨晩、夜の自主練習終了後にラルスに会ったものの"誘い"はかからず、守山先生情報によれば、今晩も予定なしとのこと。で、どうやら明日に行われるらしいのだが、というのも、明日の夕方に行われるコンサートで、ラルス師がモーツァルトのホルン協奏曲(第2番)を吹くからで、この本番が終らないことには、宴会どころではなさそう、とのことなので。
先ほど、そのホルン協奏曲のリハーサルを見学してきたのだが、とても精緻な演奏で、本番も大変楽しみなところ。でも、さすがに、それだけの"大舞台"を前にすると、きちんとコンディションを整えて臨もうという意識が働くようで、いつも飲んだくれてる人かと思ってたけど(ひでーな^^;)、ちと見直しました(ずいぶんだな^^;)


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