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1997年1月〜6月のNEWSです。

1997年6月21日(土)号

●新楽団長はヘルスベルク

「レコード芸術」7月号の『海外楽信』における山崎睦氏のレポート、および、芹沢ユリア女史(-_-メ)による『ウィーンフィル インサイド・レポート』によると、去る4月に辞任したレーゼル前楽団長の後任として、当団ヴァイオリン奏者にして楽団資料室長のC.ヘルスベルク氏が就任した。副団長は、打楽器のR.アルトマン氏(再任)。なお、長らくゼネラル・マネージャーを務めたW.ブロフスキー氏(ビオラ)も同時に辞任し、その後任は未定とのこと。今回の一連の女性団員採用問題に関する対応の不手際から、団員によるマネージャーの兼務には限界があるのでは、との声もあるようで、当団としては初めて、専任マネージャーを外部から招聘するという案も上がっている模様。

◎ニュースのツボ◎

新人事は5月9日の団員総会において決定されたとのこと。まぁ、レーゼル辞任から1ヶ月ほどで新体制を決めたということだから、それほどゴタゴタしているわけではなさそうで、ちょっと安心。でも、ゼネラルマネージャーが空席のままってのは、やっぱり今回の一連の騒動の余波なのであろうし、それだけ大きい"事件"だったんだ、ということも改めて認識する次第。芹沢女史(-_-メ)のレポートには、レーゼル氏のインタビュー記事の抜粋もあったが、マスコミや政治家に対する「恨み節」もあって、そりゃ大変だったねぇ、と同情するところもある。芹沢女史(-_-メ)によれば、女性採用に対する「強硬反対派(団員)」と、採用を迫る「政治家マスコミ連合」の板挟みの中で、氏は"苦渋の選択"をしたとのこと。いろいろ思いはあるところだが、まぁ、ひとまずは「お疲れ様」と労をねぎらいたいね。



1997年6月17日(火)号

極秘入手!来シーズン定期演奏会スケジュール(勝手に)発表!

さる筋(←どんなだ?)より、当団の来シーズン定期演奏会スケジュールを入手したので、さっそくお知らせする。本来ならば、7月下旬のザルツブルク音楽祭にて発表されるべきもの。おそらく、世界で最も早い「発表」である!しかし、いいのだろうか、こんなことして(^^;
※言うまでもなく「非公式」のもの故、最終的な発表とズレがあることも予想される。くれぐれも、その旨ご了解いただきたく。

NEUN ABONNEMENTKONZERTE UND NICOLAI-KONZERT
SAISON 1997/98 GROSSER MUSIKVEREINSSAAL

1.Konzert : 27./28. September 1997
Dirigent : Bernard Haitink
Robert Schumann : Klavierkonzert a-moll op.54(Solistin : Mitsuko Uchida)
Ludwig van Beethoven : Symphonie Nr.3, Es-Dur, op.55 ("Eroica")

2.Konzert : 8./9. November 1997
Dirigent : Claudio Abbado
Bela Bartok : Musik fur Saiteninstrumente, Schlagzeug und Celesta
Richard Strauss : Vier letzte Lieder, Op.150(Solistin : Karita Mattila)
Franz Schubert : Symphonie Nr.5, B-Dur, D485

3.Konzert : 22./23. November 1997
Dirigent : Mstislav Rostropovich
Leonard Bernstein : Slava! (Eine politische Ouverture)
Selgej Prokofieff : Romeo und Julia, Suite
Dimitri Schostakowitsch : Symphonie Nr,8, op.65

4.Konzert : 10./11. Janner 1998
Dirigent : Lorin Maazel
Franz Schubert : Ouverture zur "Zauberharfe", D644
Lorin Maazel : Konzert fur Flote und Orchester(Solist : Wolfgang Schulz)
Maurice Ravel : Rhapsodie Espagnole
Maurice Ravel : Bolero

5.Konzert : 14./15. Februar 1998
Dirigent : Sir Simon Rattle
Richard Strauss : Der Burger als Edelmann, Suite,op.60(IIIa)
Ludwig van Beethoven : Klavierkonzert Nr.5, Es-Dur, op.73(Solist : Alfred Brendel)

6.Konzert : 21./22. Februar 1998
Dirigent : Riccardo Muti
Paul Hindemith : Symphonie in Es-Dur
Johannes Brahms : Symphonie Nr.2, D-Dur, op.73

7.Konzert : 20./22. Marz 1998
Dirigent : Franz Welser-Most
Joseph Haydn : Symphonie d-moll, Hob.I:26 ("Lamentatione")
Max Bruch : Kol nidrei, op.47(Solist : Wolfgang Herzer)
Franz Schmidt : Symphonie Nr.4

8.Konzert : 18./19. April 1998
Dirigent : Zubin Mehta
Anton Webern : 6 Orchesterstucke, op.6
W.A.Mozart : Konzert fur Oboe und Orchester, C-Dur, KV314
Gustav Mahler : Symphonie Nr.1, D-Dur ("Titan")

9.Konzert : 23./24. Mai 1998
Dirigent : Seiji Ozawa
Johannes Brahms : Symphonie Nr.1, c-moll, op.68
Igor Strawinsky : Le Sacre du Printemps

10.Konzert : 13./14. Juni 1998
Dirigent : Mariss Jansons
Jean Sibelius : Symphonie Nr.1, e-moll, op.39
Antonin Dvorak : Symphonie Nr.9, e-moll, op.95 ("Aus der neuen Welt")

Programmanderungen vorbehalten!

◎ニュースのツボ◎

まさかこの時期に、来シーズン定期演奏会スケジュールを入手できるとは思わなかった。こういうのを"蛇の道はへび"というのかね(^^;。というわけで、独断による「見どころ解説」を。

1.ラトル今度は「町人貴族」だ!
完全に"常連"となったラトル。去る4月の「変容」に続いて、当団とのR.シュトラウス第2弾に、なんと「町人貴族」を持ってきた。やるのぉ、おぬし(←オヤジ... ^^;)。聴きに行きたい!

2.ロストロポーヴィチ初登場
来シーズン、ソリストとして共演予定であることは既報(4月29日号)の通りだが、なんと指揮者として定期演奏会に登場とは...。しかもやる曲がバーンスタインの「スラバ!」にショスタコの8番。いやぁ、びっくりしたなぁもう(by 南伸介←古すぎ...^^;)

3.ウェルザーメストも初登場
これまた定期初登場のウェルザーメスト。"期待の"オーストリア人若手指揮者が、ついに登場するというわけ(EMIの"政治力"との説もあるが)。メインの曲がシュミットの交響曲ってのも、よろしいのではないでしょうか。

4.当団のブラ1と小沢のハルサイ
なんか、それぞれに自分の得意技を相手の不得意技にぶつけて帳尻を合わせたようなプログラムだなぁ。結局プラマイゼロで何も残らなかった、という結果に終らないことを祈る!

5.マゼールのフルート協奏曲って...
ノーコメント!



1997年6月16日(月)号

●ヨーゼフ・シュタールも退団!人事消息続報

先般の"シャイヴァイン(チェロ首席)引退"を把握できなかったことは、当団ウォッチャーを自認する私にとって悔いの残るものであった。まだ他にも知らない人事異動があるのではないか?心配した私は、さっそく、友人所有の来シーズン国立歌劇場プログラムを借り、メンバー表を確認。その結果、以下の事実が判明した。(プログラム掲載メンバー表は、本年3月時点のものとのこと)

1.J.シュタール(ビオラ首席)が退団
2.T.ドゥーニン(Timothy DUNIN:コントラバス)がトゥッティ奏者に降格(?)
3.J.マイヤーホーファー(Josef MAIERHOFER:テューバ)が退団(?)

以下、人事解説

1.シュタールの引退
これはシャイヴァインの引退同様"織り込み済"の事実。定年間近(1935年生れ)でもあったし、まぁ、致し方ないところか。
シュタール氏で思い出深いのは、1986年のオペラで来日の折のこと。わが国ホルン会の重鎮、千葉馨氏のお宅で、ウィーンフィルメンバーを招いてのパーティがあり、私は運良くそこにお邪魔することができた。ホルンのベルガー(一人黙々と日本酒を飲んでいた ^^;)やヘグナーと一緒に、シュタール氏もいらしていたのだが、深夜になって、各人が楽器を持ち出して一曲弾きはじめるという余興が始った。そこでシュタール氏が弾いたのが、確か「G線上のアリア」。その素晴らしかったこと!それまで騒々しかった会場内が、彼の演奏が始まるや否や一瞬にして静まり返り、全員で聴き惚れたのであった。氏の前に、ソリストとして名高い某日本人女性ヴァイオリニストが何かを弾いたのだが、その音楽の"深さ"の違いが歴然。改めて、彼らの底力を思い知らされたのであった。長い間ご苦労さんでした、ヨシさん。

2.ドゥーニンの降格(?)
申し訳ないが、このドゥーニンという人が、どんな顔をした人なのか知らない。でも、たぶん、昨年の来日公演で首席を務めていたヒゲ面の若者ではないかと思う。この人、昨年の国立歌劇場プログラムのメンバー表では首席の位置に名前があったのだが、今年版ではトゥッティ奏者の位置になっている。もしかして、試用の結果"首席失格"ってことになったのかな?まぁ、真相はわからないけどね。というわけで、3月8日付当欄に書いた"コントラバス首席のオーディションはポッシュが辞めるから?"の件は、そういうわけではなかったと判明。あぁ良かった。

3.マイヤーホーファーが退団(?)
この人の顔も知らない。たぶん、ちょっと太めのお兄ちゃんだと思うけど。この人、昨年の国立歌劇場プログラムのメンバー表には名前があったのに、今回消えている。これまた試用の結果解雇となったのか、はたまた他の団体にでも移ったのか。チューバのオーディションも予定されていたけど、てっきりピサルキェヴィツが辞めるんだと思ってたのだが、これまた予想がハズレたようで。



1997年6月9日(月)号

●ザルツブルク音楽祭のチケットいかがっスか!?

当欄へのネタをご提供いただくなど、いろいろとお世話になっている旅行会社勤務のS氏こと鈴木氏から、今夏のザルツブルク音楽祭の当団演奏会のチケットを、当ページご覧の皆さんに実費にてお譲りしたい旨のメールが届いたので、以下に転載する。
もちろん、時間とお金のある方が対象の話だが、少なくとも公式には売切れのチケットであるから、行くつもりだったのにチケットが確保できなかったので諦めた、なんて方にはグッドニュースではないかと。よろしかったら、連絡してみてください。

転載メール:ここから-----------------------------------------

ザルツブルク音楽祭のチケット:先着順にて承ります。ウイーンフィル4公演各10枚あります。全て上から2番目の席です。チケットは正規ルートで確保したもの。既に全て日本にあります。

JUL.26(Sat) 20:00 Grosses Festspielhaus
OZAWA
Berlioz : Les nuits d'ete (Susan GRAHAM)
Schumann : Symphonie Nr.2
#parterre links reihe10 sitz3/8
#parterre links reihe11 sitz4,5
#parterre links reihe13 sitz1,2

AUG.15(Fri) 11:00 Grosses Festspielhaus
MUTI
Schubert : Symphonie Nr.3
Schubert : Messe As-dur D.678
(Ruth ZIESAK, Monica BACELLI, Rainer TROST, Samuel RAMEY,
Arnold Schoenberg Chor)
#parterre links reihe13 sitz 1,3,5,6
#parterre mitte rechts reihe15 sitz 28,29
#parterre mitte links reihe1 sitz14/17

AUG.24(Sun) 11:00 Grosses Festspielhaus
GARDINER
Weber : Ouverture zu Oberon
Schubert : Gesang der Geister uber den Wassern D.484
(Monteverdi Chor)
Schubert : Symphonie Nr.8 D.944
#parterre links reihe4 sitz1/6
#parterre rechts reihe12 sitz42/45

AUG.30(Sat) 11:00 Grosses Festspielhaus
NORRINGTON
Schubert : Symphonie Nr.5 D.485
Berg : Violinkonzert (Christian TETZLAFF)
Schubert : Symphonie Nr.7 D.759 "Die Unvollendete"
#parterre links reihe7 sitz1/4
#parterre links reihe10 sitz3/8

以上、チケットは全て券面額ATS1800の席です。料金は券面額に現地チケット代理店の合法的手数料22%(税含)を加えた金額を送金時の換算レートで計算させて戴き、送金手数料を加算させて戴きます。

AUG.15の分に関しましては次のオペラ・コンサートとの組み合わせも可能です。
AUG.13 "Die ZAUBERFLOTE"
AUG.14 Mahler Jugend Orchestra/BOULEZ

AUG.30の分に関しましては次のオペラ・コンサートとの組み合わせも可能です。
AUG.28 "Die ZAUBERFLOTE"
AUG.29 Berliner Philharmoniker/ABBADO
AUG.30 "BORIS GODUNOW"

上記演奏会のためのザルツブルク市内の比較的近くて割安なホテルもご紹介できます。
以上、詳しくはお問い合わせください。

operatrs@blue.ocn.ne.jp担当:鈴木(2名おりますがこの件に関しては2名とも担当です。)

-----------------------------------------転載メール:ここまで


●トゥレチェク復帰!か?

ホームページ仲間のるり@フリークタウンさんが、来日中の当団コンマスW.ヒンク氏から聞き出した情報によると、昨秋来、耳の病気で長期療養中であったオーボエのG.トゥレチェク氏は、無事回復した模様。オケ活動に復帰したのかどうかはわからないが、何はともあれ、良かったナと。ファンの皆さん(←当ページ読者には多いはず)、ご安心を。
一方で、長らくチェロの首席を務めたR.シャイヴァイン氏が、病気のため引退ということになったらしい>"した"のか"する"のかは不明。年齢的に引退は不思議ではないし、当欄3月8日号にあるように、首席奏者のオーディションが行われることも発表されていたから、予期していたこととはいえ、またしても名物団員の引退ということで正直寂しい。氏の演奏というと、ポリーニ&アバドでのブラームスのピアノ協奏曲第2番(DG)のソロが印象深いところ。深みと"色気"のある音色が魅力だった。とにかく、長い間ご苦労様でした、ということで。


★6月11日(水)付続報!

ロンドン在住H氏から、上記2氏の消息に関する情報をいただいたので、以下にご紹介する。

H氏メール:ここから-----------------------------------------

頭書の件、小生が知っている事をご参考までにご連絡致します。

トレチェク氏:今年4月6日Staatsoperの魔笛でピット入りしていたのを確認。
シャイヴァイン氏:4月に発表されたStaatsoper97-98シーズンプログラム冊子中のオーケストラメンバーリスト(3月現在と記載されている)によると既に同氏の名前は無い。

-----------------------------------------ここまで

というわけで、トゥレチェクはオケに復帰、シャイヴァインは引退"した"が正解の模様。しかし、シュターツオパーのシーズンプログラムのチェックというのは盲点だった。だいぶ前に、友人が持ってるのを見せてもらってたのに...。H氏、ありがとうございました。



1997年5月22日(木)号

●来日公演の日程発表!

本屋で立ち読みした「音楽の友」誌に(←飯尾さんゴメン!)、今年のウィーンフィルウィークの正式日程が掲載されていたので転記する。なお、各地の会場については、メモる余裕がなかったので省略(東京はサントリーホール)。

プログラムA:シューマン/ピアノ協奏曲(ピアノ:内田光子)、ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」
プログラムB:シェーンベルク/オーケストラのための5つの小品、ブルックナー/交響曲第7番
プログラムC:マーラー/交響曲第9番

10月10日(金)札幌(Bプロ)
10月11日(土)大阪(Aプロ)
10月12日(日)広島(Cプロ)
10月14日(火)名古屋(Aプロ)
10月15日(水)東京(Cプロ)
10月16日(木)福井(Aプロ)
10月18日(土)東京(Bプロ)
10月19日(日)東京(Aプロ)

※チケット発売:7月12日(土)

◎ニュースのツボ◎

というわけで、心配した"マラ9"プログラムも無事に(?)発表され、ひと安心のワタシでありました...。しかし、初日の札幌の翌日が大阪公演とは...。相変わらずのハードスケジュールでありますなぁ。
毎度お馴染みの東京・名古屋・大阪に、久々の札幌と広島が加わったところまでは"普通"だが、当団初訪問(たぶん)になる福井には、正直言ってびっくり。なんか、新しいホールでやるみたいだけど、だいぶ"政治力"が働いたのかな、なんて勘ぐっちゃったりして...。
さぁて、7月12日は、万全の態勢を整えて臨まなきゃね(←ひたすら電話をかけ続けるだけなんだけど...)。過去、チケット争奪戦では「無敗」を誇ったのに、昨年の"五嶋みどりプロ"でついに敗退。"心ある方"のお慈悲でチケットを譲っていただき、なんとか聴くことはできたのだが、悔しかった。今年はなんとしても、自力で全公演(←もちろん東京のみよ ^^;)のチケットを確保せねば!



1997年5月15日(木)号

●来日公演の"ベートーヴェン"はやっぱり「エロイカ」

昨日発売のFMfan誌によると、ウィーンにおいて、'97ウィーンフィルウィーク・ジャパンの演目の一部が発表された模様。発表された内容は以下の通り。

プログラムA:シューマン/ピアノ協奏曲(ピアノ:内田光子)、ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」
プログラムB:シェーンベルク/オーケストラのための5つの小品、ブルックナー/交響曲第7番

というわけで、先般当欄で発表(←予想だろ!)した通りの内容であり(プログラム記号はハズレたけど)、曲名がわからなかったベートーヴェンも、やはり「英雄」であった。なお、"マラ9"のプログラムについては発表されなかったようだが、演目の"一部"を発表した、とのことであるから、おそらく今後の正式発表の際には加わってくるものと思われる。

◎ニュースのツボ◎

当りましたね「エロイカ」。演奏時間なんかを考えて、たぶん「エロイカ」だろうなと思ったんだけど、見事(?)でした。しかし、気になるのは"マラ9"プロが発表されてないこと。過去のパターンから行けば、事前にウィーンその他で演奏してから日本に来るんで、たぶん夏のザルツブルクでやるマラ9を持って来ると思うんだけどね...。"予行演習"なしでいきなり日本公演、てことはないと思うけど、場合によっては他の演目に変わることも有り得る。だとすると、"マラ9好き"の私としてはチト悲しい...。



1997年5月9日(金)号

●将来の採用条件はサッカーの腕前?

昨日届いた「日本ウィーン・フィルハーモニー友の会」会報(第32号)によれば、昨年11月、以下のような"サッカー試合"が行われた模様である。

※以下は、昨年11月30日と12月1日に行われた第3回定期演奏会のプログラム中の「Philharmoniche Tagebuch(フィルハーモニー日誌)」(クレメンス・ヘルスベルク著)に掲載されたものを、寺本まり子さんが訳し、それをさらに私が"かいつまんだ"ものであることをあらかじめお断りしておく。

1996年11月14日、演奏旅行の休日にケルンで、ギュルツェニヒ・オーケストラとウィーン・フィルとの間でサッカーの試合が行われた。ザルツブルクで、コンセルトヘボウ管弦楽団とフィルハーモニア管弦楽団に対して非常に大きな勝利をおさめた後なので、大変楽観して臨んだウィーンフィルチームであったが、真の遠征試合であったにもかかわらず応援は2人のファンだけであった。補欠がきわめて足りないウィーンフィルチームは、各所で好プレーを見せ、休憩にはグリューワインで元気づけられたにもかかわらず、はるかに効率よく行動した招待者側に結局ひどく打ち負かされた。勝者には優勝杯が渡されたが、相手チームのキャプテンは、これを「持ち回りの優勝杯である」と説明、ウィーンフィルチームのキャプテン、ヨハン・ヒントラーに歴史資料室用として手渡した。
追伸:試合の結果は例外的な場合にのみ、そして十分に根拠のある申し出によって公表される。いずれにせよ、チーム・トレーナーのロナルド・ヤネツィクは将来のために徹底的な対策を検討している。但し、将来の試験の際にはサッカーの能力が特に考慮されるのではないか、といううわさには全く根拠がない。

◎ニュースのツボ◎

好きだなぁ、この手の話。彼らは、数年前の来日の際も試合をしてるから、相当好きなんだろうね。ヒントラー(クラリネット)がキャプテンで、トレーナー(?)がロナルド(ホルン)か。きっと「趣味はサッカー」というゼルナー氏(ホルン)も参加したんだろうな、老体(失礼!)にムチ打って(^^;。休憩時間にワイン飲んでるとか、試合結果は"例外的な場合"以外は公表しないとか、"草スポーツ"の基本をきちっと押さえてるところも良いね。
それにしても、ロナルドの考えてる"徹底的な対策"って?まずはキミのホルンをなんとかしろ、なんて言われちゃわないように、"本業"の精進も忘れないでよ。



1997年5月3日(土)号

●大胆予想!'97ウィーンフィルウィーク・ジャパンのプログラム

先にお知らせした通り、今年のウィーンフィルウィークは、指揮がハイティンク、ソリストが内田光子と決定している(正式発表はまだだが)。当欄の"4月30日付続報"の中で、内田光子が弾くのは何?ということを書いたが、それが、どうやらシューマンであるらしいことがわかった。というのも、このページに、今秋以降のウィーンのコンサートスケジュールがすでに掲載されているのだが、9月26日の当団コンサートにハイティンクと内田光子が登場、シューマンとベートーヴェンを演奏する旨の記載があるからで、まぁ、作曲家名だけで具体的な曲目はないのだが、内田お得意のシューマンの方が協奏曲であろうと判断した次第。
というわけで、ハイティンクと当団は、来日に先立って計3回の演奏会(ザルツブルクとウィーン)を行うわけだが、この3回というのは、たぶん、そのまま日本公演の3プログラムということになるものと思う。よって、ここに今年のウィーンフィルウィークのプログラムを大胆予想(でもないね、元ネタがあるわけだから ^^;)し、主催者よりも先に(主催者に成り代って!?)発表してしまうことにする(←すでに本当のプログラムが発表されてたりするとマヌケだけど...)。

プログラムA:マーラー/交響曲第9番
プログラムB:シューマン/ピアノ協奏曲(ピアノ:内田光子)、ベートーヴェン/交響曲第3番「英雄」
プログラムC:シェーンベルク/オーケストラのための5つの小品、ブルックナー/交響曲第7番

さぁどうだ、野村證券!なんてね(^^;

この中では「英雄」だけが、完全な予想。あとの曲は、全部発表されてるプログラムそのまま。
ベートーヴェンはもしかしたら「運命」かも。その他の曲ってことはないと思う(たぶん)。
ブルックナーの"付け合わせ"であるシェーンベルクは、"日本人向け"に別の曲に変えられるかもしれないけど、個人的にはこのままやってほしいな。

さぁて、当たるかな、この予想。当たったらチケットくれる、なんてことないよね、やっぱり(↑しかし、これって"ニュース"なのか??)。



1997年4月29日(火)号

●ウィーン楽友協会来シーズンスケジュールから深読む'97ウィーンフィルウィーク・ジャパンの演目
←前にもあったような見出しだけど...。

読者のI氏から、来シーズンのウィーン楽友協会主催演奏会スケジュールのうちの、当団出演分の予定をお知らせいただいた。以下に、いただいたメールの一部を転載する。

I氏メール、ここから-----------------------------------------

VPOが登場するのは「巨匠演奏家の解釈シリーズ」3種の中で、それぞれのシリーズで3回ずつです。(昨年度はせいぜい1、2回だったので、今年は増えました。)

シリーズI
1)97/11/10 19:30開演
アバド指揮, Karita Mattila (Sopran)
Bartok: Musik fur Saiteninstrumente, Schlagzeug und Celesta
R. Strauss: Vier letzte Lieder
Schubert: Symphonie Nr. 5 B-Dur, D485

2)97/12/07 11:00開演
ラトル指揮、A. Brendel(piano)
Beethoven: ピアノ協奏曲1番
Strawinsky: Apollon Musagete, Ballett
Beethoven: ピアノ協奏曲4番

3)98/05/05 19:30開演
ムーティ指揮、ウィーン楽友協会コーラス、独唱陣:ボニー、ライモンディ、キルヒシュラーガー、トロスト、フローレス、シューベルト
Haydn: Te Deum C-Dur "fur Kaiserin Maria Therese"
Cherubini: Missa Solemnis d-Moll

シリーズII
1)97/10/03 19:30開演
ハイティンク指揮
Schonberg:5 Stucke fur Orchester, op.16, Fassung 1949
Bruckner: Symphonie Nr.7 E-Dur

2)97/12/07 15:30開演←※フォルカー注:12月6日(土)かな?
ラトル指揮 (内容はシリーズIの(2)と同じ)

3)98/06/16 19:30開演
ヤンソンス指揮
Sibelius: Symphonie Nr. 1 e-Moll
Dvorak: Symphonie Nr. 9 e-Moll

シリーズIII
1)97/11/30 11:00開演
小沢指揮 ロストロボーウィッチ(violoncello)
Tschaikowskij:Rokoko-Variationen, op.3
Lutoslawski: Konzert fur Violoncello und Orchester
Dvorak: Konzert fur Violoncello und Orchester h-Moll, op.104

2) 98/02/18 19:30開演
ムーティ指揮 Ruth Ziesak(sopran)
Beethoven: Streichquartett f-Moll, op.95 fur grosses Orchester gesetzt von Gustav Mahler
Mahler: Symphonie Nr.4 G-Dur

3) 98/04/17 19:30開演
メータ指揮 Martin Gabriel(Oboe)
Korngold:Viel Larm um Nichts. op.11 Buhnenmusik zum Schauspiel von William Shakespeare
Mozart: Konzert fur Oboe und Orchester C-Dur, KV285d
Mahler: Symphonie Nr. 1 D-Dur
-----------------------------------------ここまで

◎ニュースのツボ◎

I氏も最初に書いておられるように、ここ数年の傾向からして、このスケジュールのかなりの部分は定期公演と重複するものと思われる(たぶん)。
で、ここでは、10月3日のハイティンクとの演奏会に特に注目したい。以前にも書いたが、今年の来日公演の指揮者はハイティンクだそうだから、その彼と、たぶん来日の直前に行うであろうこの演奏会の内容は、来日公演の演目と重複する可能性が極めて高いと言える。
というわけで、この演奏会で取り上げるブルックナー7番、たぶん「当確」でしょう。あと、これも以前書いたが、夏のザルツブルク音楽祭でやるマーラーの9番ね。これもかなり確率高そう。おそらく、この2曲がメインとなるプログラムができる(たぶん)。で、例年のパターンで行けば、あと1プログラムが組まれるはず(たぶん←しつこいね ^^;)。さぁて、そのメインの曲は何になるのか...。ベートーヴェン?ブラームス?個人的には「幻想交響曲」なんか聴いてみたいけどね。


★4月30日(水)付続報!

ロンドン在住H氏から、上記当団来日公演に関する有力情報をいただいたので、以下にご紹介する。

H氏メール、ここから-----------------------------------------
昨27日当地Royal Festivalにて行われたPhilharmonia Orchestra定期演奏会(指揮:Kurt Sanderling)に出演した内田光子(pf)のプログラム中のProfileによれば、内田は本年10月のHaitink/VPOの日本公演に同行するとの事です。確か内田がVPOと共演した事は過去無い筈なので、日本向けの特別アレンジとは言え注目されます。
-----------------------------------------ここまで

ハイティンクと内田光子は、同じPHILIPSレーベルの所属アーチストであるから、これは大いに有り得る話。プログラムに書いてあったのであれば間違いないと言っていいだろう。昨年のMIDORIに続き、日本人女性演奏家と当団の共演が実現することになりそうだ。で、曲目は何だ?やっぱりモーツァルト?



1997年4月18日(金)号

●ウィーン国立歌劇場'97〜'98シーズン予定発表!

海外音楽ツアー専門旅行代理店勤務にして、異議アリ!コーナーでもお馴染み(?)のS氏から、ウィーン国立歌劇場来シーズンスケジュールの"速報メール"が届いたので、以下に転載する。

S氏メール、ここから-----------------------------------------

まず、プレミエ

Donizetti : LINDA DI CHAMOUNIX (19,Oct)
Campanella,Everding:Gruberova,Donose;Pratico,Groves,Miles,Hampson
定評あるグルベローヴァの「シャモニーのリンダ」

Leopold T : DER VERLORENE SOHN / ORPHEUS UND EURYDIKE (26,Oct)
Maerzendorfer,Bletschacher
Barockensemble der Oesterreichischen Bundestheater
Wiener Motettenchor
一体何が起こったんだ?皇帝レオポルドT世のオペラ2本建て。オケは何者?
そしてあの「無口なお爺さん」指揮。大丈夫か?この人シュニトケも振る。

Wagner : RIENZI (13,Dec)
Mehta,Pountney:Gustafson,Murray/Urmana;Jerusalem,Fink,Weber
メータのリエンツィ。なお、トリスタンもメータだ。

Verdi : I VESPRI SICILIANI (12,Feb)
Pappano,Wernicke:Vaness/Corlho;Bruson,Botha,Furlanetto
「シチリアの晩祷」メンバー揃っている。

Meyerbeer : LE PROPHETE (21,May)
Viotti,Neuenfels:Baltsa,Laukianetz;Domingo,Hawlata,Kerl
「、、、」訳がわからない。スイマセン。

マーラー記念演奏会、今回は、

Mahler : Symphonie Nr.8 (17,19May)
Maazel:Varady,Polaski,Banse,Lipovsek,Gonda;Botha,Pederson,Rootering
なあんだ、しかし凄いメンバー。しかも2回やる。

こんなのもある。メンバー不明。

北京公演:22,23,24,Oct(於21世紀劇場):「フィガロの結婚」

とりあえず、OPENINGは

R.Strauss : DIE SCHWEIGSAME FRAU (01,Sep)
Stein:Dessay;Rydl,Skovhus,Schade
年始以来全休符となっっているシュタインの再起第1戦。

注目の年末年始は

Mozart : DON GIOVANNI (25,Dec)
Schneider:Isaev,Isokoski,Kirchschlager;Shimell,Trost,Hawlata

Offenbach : LES CONTES D'HOFFMANN (26,Dec)
Halasz:Loukianetz,Coelho,Gallardo-Domas,Donose;Zednik,Fondary,Araiza
ツェドニクか。アライサか。面白くなりそうか?
しかし私は26,30,Marのメンバーで観たい聴きたい。
Markl:Dessay,Coelho,Isokoski,Kirchschlager;Zednik,R.Raimondi,Sabattini
でしょ?

Ballet : LAUS DEO / DIE PUPPENFEE (27,Dec)
Nakajima (この指揮者、誰?)

Wagner : RIENZI (28,Dec)
Mehta:Gustafson,Urmana;Jerusalem
メータ精勤。

Ballet : LAUS DEO / DIE PUPPENFEE (29,Dec)
Nakajima (この指揮者、誰?)

Mozart : DIE ZAUBERFLOTE (30,Dec)
de Billy:Isokoski;Fink,Trost,Bankl

J.Strauss : DIE FLEDERMAUS (31,Dec / 01,Jan)
Luisi:Schnitzer,Kirchschlager;Jerusalem,Juhnke
イェルサレムが?! リエンツィから居座る。

Ballet : LAUS DEO / DIE PUPPENFEE (02,Jan)
Nakajima (この指揮者、誰?)

Wagner : RIENZI (03,Jan)
Mehta:Gustafson,Urmana;Jerusalem
メータ精勤 Part2。

J.Strauss : DIE FLEDERMAUS (04,Jan)
Luisi:Schnitzer,Kirchschlager;Zednik,Juhnke
イェルサレム、チェックアウト。


とりあえず、オケメンバー表のホルンは、

Wolfgang TOMBOECK, Roland JANEZIC, Lars Michael STRANSKY,
Willibald JANEZIC, Franz SOELLNER, Wolfgang VLADER,
Guenter HOEGNER, Friedrich PFEIFFER,
Volker ALTMANN,Roland HORVATH
です。
-----------------------------------------ここまで

◎ニュースのツボ◎

というわけで、何やらメータの"ワーグナー戦登板"が目立つシーズンになりそうだが、これって、ミュンヘンへ乗り込むにあたっての"予行演習"というわけではあるまいナ?個人的には10月の北京公演「フィガロの結婚」ってのが気になる。いくらなんでも、観に行くってことはないけども...(→ないよね。えっ?まさか...)。オケの日本公演は、この前後?
ところで、なぜ特別に年末年始のスケジュールがピックアップされているかというと、どうせまた巡礼に行く気だろうから、というS氏の深読みおよびご配慮によるもの(と思う^^;)。でもねぇ、今年は無理だろうなぁ、きっと。行けないでしょう...(→ないよね。えっ?まさか...)。
それにしても、Nakajimaって指揮者、何者なんだろね??



1997年4月5日(土)号

●レーゼル楽団長辞任!

4月4日付スポーツニッポン紙(記事配信は共同通信)によると、当団楽団長のウェルナー・レーゼル氏が、2日「一身上の都合」を理由に辞意を表明、了承された模様。後任人事等の詳細は不明。

◎ニュースのツボ◎

スポニチの見出しには「ウィーンフィル楽団長、女性入団したので?辞職」とある。また、記事によれば『氏は女性の入団に最後まで抵抗し、「女性の入団が認められるなら楽団を解散する」と発言、波紋を広げた』とも。まぁ、これだけ読めばさ、結果的に女性団員を採用することになったものだから、「自分の"方針"が団員に受け入れられなかったんで辞職した」ってとれちゃうけど、でも、このページを読んできていただいた賢明な読者の皆さんであれば、それほど単純なものではないだろう、とおわかりいただけるはず。もちろん「真相」はわからないのだが、ここ数年の執行部の運営姿勢に対して批判的な団員も少なからずいる、という話もあった。女性団員採用決定と氏の辞任に、なんらかの因果関係はあるのかもしれないが、記事にあるような「だから辞めた」ということではないと思う(たぶん)。---氏の辞任によって、他の執行部メンバーも入れ替わるのか、それとも団長だけが交代となるのか...。いずれにしても、当団の"行く末"に関わる問題である。続報に注目したい。



1997年4月4日(金)号

●久々のバッハはつつがなく終了の模様

「ウィーンにも復活祭のイベントを!」という市当局の思惑と、「若い連中にもバッハを弾かせないとヤバい!」という当団執行部の思惑が一致して、当団によるバッハ演奏を目玉とした(?)ウィーンの復活祭音楽祭が今年からスタート。当団が約半世紀ぶりに演奏したというバッハの「ヨハネ受難曲」がそのオープニングを飾った。指揮は、当団初登場のフィリップ・ヘレヴェッヘ@古楽系。
3月22・23日に行われたその演奏会を聴いてきた方へのインタビュー、というのを"さる筋(←どんなだ?)"より入手したので、以下にご紹介する。

Q1:専門楽器(ガンバとかフルート・ドルチェ:縦のヤツ)とかは誰が担当したの?
A:見慣れない人がやっていた。
→どうもメンバーではなくてどこかから専門家を呼んだみたいです。なあんだ。(まさかコンチェントゥス・ムジクスじゃないだろうな?)
Q2:ピッチが高くてヘンにならなかった?
A:やけに艶っぽかったのは聴き慣れているのよりも半音以上高いせいもあるかもしれないが、オケの独特の音色のせいじゃないか? →ヘレヴェッヘは確実に半音以上高い環境で指揮している訳だから大変だ。彼は多分現代楽器のオケはほとんど振った事がないハズ。フツーなら間違いなく頭がヘンになる? あるいは半音読み替えの技に出たか?
Q3:ヴィヴラートはどうした?
A:どうも徹底していないみたいで、ヘレヴェッヘもここは特別な演奏団体という事で手兵の時とは勝手が違うというか。いつものVPOとは違う音質だったと言っても、大体ナマでVPOのバッハを聴く事自体が初めてな訳だし。ヘレヴェッヘを古楽団体以外で聴くのも初めてだし。でもとってもすっきりしたきれいな響きでした。
→お互いに慣れない事やっていたんでしょうね?
Q4:ヘレヴェッヘはVPOと上手くいっているか?
A:それが実際にこの演奏はどこまでがヘレヴェッヘだか分からない。月末にベルリンでベルリン古楽アカデミーでもう一度ヘレヴェッヘのヨハネを聴くので、それから考えてみたい。拍手はすごく多かったが。
→イースターなんでヨーロッパ中ヨハネが響き渡っております。

ということで、一応、無事終了した模様なので何よりである。いろいろ勝手は違っただろうが、当団の新しい試み(→曲は古いけどね)として、その姿勢を評価したい。ちなみに来年以降の予定は、

1998,04/04&05
Wiener Philharmoniker
Gaechinger Kantorei
Helmuth Rilling
J.S.Bach:"Matthaus-Passion"

1999,03/27&28
Wiener Philharmoniker
The Schuetz Choir of London
Roger Norrington
J.S.Bach:"H-moll-Messe"

だとか。よろしかったら聴きに行ってやって。

◎ニュースのツボ◎

今どきのオケ@非古楽系は、なかなかバッハを演奏しない("できない"という方が正しいか?)。当団とて同じこと。ここ数年で演奏したバッハといえば、'95年1月に、ウィーン楽友協会125周年記念演奏会でやった、ヴァイオリン協奏曲第2番のしかもアダージョのみ(独奏はコンマスのゲーデ)。オケ界の「保守本流」を自負しているであろう当団にとって、「音楽の父」の曲をやらない(やれない)ということは、由々しき問題ではあったのだろう。今回、ヘレヴェッヘを迎えるにあたっては、「謙虚に教えを乞う」姿勢で臨むということだったが、その割に、ヴィヴラートが不徹底だった、なんてところが実に当団らしいんだけどね。



1997年3月8日(土)号

●腕に覚えのある方はいかが?

当ホームページ専属ウィーン特派員H氏からの連絡によると、2月22日付KURIER紙に、以下のような当団団員募集の広告が掲載されたとのこと。腕に覚えのある方(女性も!)は、さっそく応募してみては?

ウィーン国立歌劇場のオーケストラで以下の人員を募集

最高年齢30才まで。オーケストラ経験(オペラとコンサート)を前提とする。
履歴書と写真を以下に送付のこと。
Orchesterinspektion der WienerStaatsoper
Postfach 294,A-1010 Wien

◎ニュースのツボ◎

当団にとって歴史的転換となった「女性非採用方針撤廃」後初の団員募集。新しいメンバーを募集するということは、"古い誰か"が抜けるというわけで、となるとそれは誰なのかというのが問題になる。しかも弦のソロ奏者(いわゆる首席奏者)が3人だもの。
ヴィオラとチェロは、シュタールとシャイヴァインというのが"順当"なところだろう。2人とも1935年生まれだから、そろそろ"引退"の時期だ。後継者を探しても不思議はない。問題はコントラバス。ウィーンフィルとしての首席は2人。ポッシュとマイヤーだが、2人ともまだ若い(1959年と1961年生まれ)。オペラにはもう1人DUNINという首席がいるが、この人物は、どう考えても先の2人よりも若いはず。首席が4人になることはないので、とすると、この中の誰かが辞めるということになってしまう。誰だ?---ポッシュかな、やっぱり...。クレメル一座でのピアソラ世界巡業やら、アルバンベルクカルテットとの共演やら、室内楽奏者として"お座敷"かかりまくりのポッシュ。独立の可能性は高い。果たして真相は如何に?



1997年3月1日(土)号

●女性団員第1号はハープのレルケスに決定!
の模様(←久々の東スポ風)

2/28朝のNHKニュースおよび九州朝日放送ウィーン支局佐伯記者からの連絡によると、2月27日に行なわれた団員総会において、ウィーンフィルとして女性団員採用を拒否しない方針に関する投票を行なった結果、反対1票の圧倒的多数で本方針が可決された模様。これにより、オーディションにおいて優秀な成績をおさめた人物については、女性であっても採用される道筋が示されたことになる。また、この総会において、これまで勤務組合メンバーという位置づけで、いわゆる準団員的に演奏活動を行なってきたハープのA.レルケス(Anna Lelkes)が、ウィーンフィルとして歴史上初めての女性団員として認められた模様である。

◎ニュースのツボ◎

これで"本決まり"ということです。ただし、現状では「女性の採用を拒否しない」ということになったに過ぎないわけだから、レルケスに続く第2号女性団員がいつ誕生するのかはわからない。すぐなのか、オーディションはするけど結局は採用に至らないのか...。現地では、当分女性は採用しないのではないか、との見方が支配的とのことでもあるけど。まぁ、ポイントは、彼らが「公正な」オーディションをするかどうかでしょう。そうであれば、新しい女性団員の誕生は、そう遠くない将来のことではないかと思うけどね。
ところで、団員投票で1人だけ反対したのって誰だったんだろ?私の場合、先年の当団150周年記念番組の中で「世界中の人々は男性だけのオーケストラを見たがっているのだ」というようなことを言い放っていた、あの古参団員の顔が浮んだけどね(←あくまでも私の勝手な想像っすよ)。



1997年2月6日(木)号

●当団最新メンバー表を掲載

当ホームページ専属ウィーン特派員(←本人はそう思ってないけど...)であるところの友人H氏が、当団の1月定期演奏会(ヤンソンス指揮)に行ってきたとのことで、そのプログラムを送ってきてくれた。すでに当団ホームページのニュースコーナーでも紹介されている通り、当団は、昨年12月の団員総会において、2ndVn3名、Fl1名、Hrn2名の計6名を、規定の国立歌劇場オケ在籍3年が経過したことを受けて、ウィーンフィルハーモニーの団員として迎えている。プログラムには、その新メンバーを加えた最新版のメンバー表が掲載されていたので転載する。
ご承知のこととは思うが、当団はウィーン国立歌劇場管弦楽団に3年以上在籍したメンバーから構成されている。よって、当団の一員として来日などもしているメンバーの中には、正確にはウィーンフィルの団員ではない(→しかし国立歌劇場オケの団員ではある)人物も混じっている。この名簿の中に「なんであの人の名前がないの?」という人物がいたとしても(←例えばコンマスのゲーデとか)、そういう場合もあるのでご注意いただきたい。なお、新メンバーが加わった以外に大きな人事異動はない模様である。

ウィーンフィルメンバー表:1997年1月版

◎ニュースのツボ◎

わがホルンパートでは、ラルスとヴラダーが正式にウィーンフィルメンバーとなった。ここで気になるのは、ヴラダーの名前の位置。当団のメンバー表は席次順に記載されるので、ホルンの場合は、上から1番(首席)3名、2番3名、3番2名、4番2名で計10名となるのが通常である。で、ラルスは1番奏者で、かつ、一番遅くに当団メンバーとなったので、1番の第3席(上から3番目)に入っている。これは規定の線。一方のヴラダーは、2番奏者の最新人だから、2番の第3席(上から6番目)に名前が入るはず。ところが、メンバー表をご覧いただければおわかりの通り、ヴラダーの位置は3番奏者の第3席(ヘグナー、プファイファーの下)になっている。これはとても異例のこと。なぜなら、3番奏者が3人ということはこれまでにないことだから。
先の日本公演で1番を吹いたり、オペラでもたまに1番を吹いたりと、どうも本人としては"上吹き"(←1番や3番)で行きたいらしいヴラダー>あくまでも推測。ローテーションからいっても当面は2番を吹かせると思うが(←2番を2人でローテーションするのはキツいので)、もしかしたら上への転向といった含みを持たせての人事なのかもしれない。でも、だとすると2番の残り1席はどうするの?先生が復活してくれたりするとすごーく嬉しいんだけど...。



1997年1月24日(金)号

速報!●急転直下ついに女性団員採用へ

KBCウィーン支局佐伯記者からの連絡によると、23日、当団は広報担当W.シュースター(打楽器)名でプレス・リリースを発表。その中で、2年前から政治家と協議を続けてきた女性団員採用問題が22日合意に達し、メンバーが同意すれば女性団員を採用することになった旨を発表した。
当欄でも二転三転した今回の騒ぎだが、これで、正式に「採用」ということで決着を見ることになった。ついに、当団に女性団員が誕生する(→実際にいつになるかはわからんが...)。

◎ニュースのツボ◎

ついにこの時が来たか、という感じ。この件に関する私の思いについては、下にも書いた通りなので、もうこれ以上は触れない。当団の新しい時代が始まるのだ。
ただ、残念なのは、この問題が「政治問題」になってしまい、かつ、政治的に決着を見たらしいこと(→当団およびオーストリア政府に対する圧力は相当なものだったのだろう)。できれば、当団があくまでも自主的に解決して欲しい問題だった。ま、仕方ないかもしれないが...。
というわけで、女性団員第1号はどのパートの誰になるのか、が注目されるところだが、順当に行けば、ハープのレルケスが"当確"でしょう。だって、もう長いこと"団員"として演奏してきてたんだから。あとは、"新人"の採用について、彼らがほんとに公正なオーディションをするかどうかだな。そう願いたいけど...。



1997年1月21日(火)号

●女性団員採用問題への当団の対応は相変わらずの"のらりくらり"

昨日号掲載の当団女性団員採用問題について、本物の「ウィーン特派員」であるKBCウィーン支局佐伯記者から情報提供をいただいた(Die Presse紙およびProfil誌記事による)。それによると、まず、アメリカでのボイコット運動発生は事実で、American Initiative for women in Musicという団体が呼びかけている由。しかし、主催者側が同調しているわけではなく、公演自体は行なわれる方向とのこと。この問題に関して、当団の対応は「従来通り」であり、オーディションが行なわれた、あるいは行なわれるという事実もない模様。また、ある当団幹部は、ボイコット運動について「アメリカでのチケット不買運動については誰も心配していない。2年前にも、カナダで同じような状況になった」と答えたとかで、依然としてのらりくらり状態でしのいでいるようだ。
ただ、日本でも一部報道があったように、昨年末にウィーンで、当団の女性団員非採用問題を考えるシンポジウムが行なわれたことに代表されるように、昨年後半あたりから、この問題についての報道が新聞・テレビを賑わしていることは事実のようだ。また、ウィーンフィルの"母体"であるウィーン国立歌劇場の総監督であるホーレンダー氏が、当団が女性団員の採用を行なわないことを「馬鹿げたこと」とし、いい加減に採用すべきとの発言を行なっており、だいぶ外堀を埋められつつある当団のようである。

◎ニュースのツボ◎

今に始まったことではない当団女性非採用への抗議活動だが、現地での報道の様子を聞く限りでは、これまでになく圧力が強まっているのは事実のようだ。まぁ、これは時間の問題でしょう。のらりくらりとかわすのにも限界があるだろうし。というわけで、いささか勇み足ぎみの昨日の「ニュース速報」でありました。ヤレヤレ、と...。
えっ?なになに、この問題に関するお前の考えはどうなのか、ですって?(←誰も言ってないだろうが...)
そういう声にお答えして(←いや、だから誰も言ってないって!)、この問題について、以前、日記のコーナーで書いたものを再掲させてもらう。あくまでも私なりの見解ですので、悪しからずご了承のほどを。
※文中の「芹沢さん」とは、当団に関する著作(?)が多い芹沢ユリア女史のこと。女史のレコ芸誌上における"駄文"に私が怒ったのがこの文章の発端。

--------------------以下再掲--------------------

■女性団員の採用についての私の気持ちは、「嫌だ」である。ウィーンフィルは男性だけのオケであってほしい。ウィンナホルンやウィンナオーボエを女性が吹いている姿など見たくもない。ウィンナワルツでのあの強烈なコントラバスのダウンボウを女性がやれるわけがない。それがないウィーンフィルなんて見たくもない。あのオケに女性の姿は似合わないのだよ。だから"イヤ"。これが私の"気持ち"。そして、これは、大方のウィーンフィルの団員の気持ちでもあろう。いろいろ理由をつけているが、なーに、本当のところはそんなものさ。
■では、今後女性を採用せず、ウィーンフィルは、ウィーンフィルというブランドとしての技量と水準を維持していけるのか。これについては「否」である。それは無理だ。もはや男だけで高水準なオケを維持していくなんてことは"絶対に"無理だ。そういう時代なのだ。だから、ウィーンフィルは、どこかで見切らなければいけないのである。ブランドとしての水準を維持するために女性を採用するのか、オケの水準よりも自分たちの気持ちを優先して「女など入れん」を貫き通すのか。
■どちらの道を取ることが、常識的に"正解"なのかは言うまでもないだろう。でも、あえて"不正解"の道を選ぶことだって悪いことではない。いずれにしても、その結果については、彼らが自分で責任を取らねばならないのだし。だからさ、つまらん詭弁で応援団をきどることなどしてはならんのだよ。本当の"ファン"ならば、いずれの道になったとしても、それを受け入れて応援していかなければ。わかったかい、芹沢さん。(10/22)


1997年1月20日(月)号

●当団ニューヨーク公演に対するボイコット運動発生により、ついに女性団員を採用へ!?

ウィーン特派員H氏(←例のアルトマン氏に弟子入り中の友人)からの国際電話によると、3月に予定されている当団ニューヨーク公演の実施に対して、アメリカの"女性団体"から、女性差別を続けているオケを呼ぶ必要はないというボイコット運動が発生。女性団員を帯同しない限り、コンサートは実施できないという事態となっている模様で、ウィーンでは連日その件に関する報道が続いているとのこと。また、事態を深刻に受け止めた国立歌劇場オケでは、ついにオーディションを女性にも開放した(する?)との情報もあり。

◎ニュースのツボ◎

何分、伝聞のためはっきりしたことは判らないが、ついに起きたか、と思わせる事件である。「差別」という問題に最も敏感な国であるアメリカでは、この、当団の女性非採用問題についても、最も強く抗議運動が起っていたと聞く。事の経緯を確認してから再度書きたいと思うが、女性団員のオーディションの実施が事実とすれば、当団もついに"外圧"に屈した形となるわけだ。いずれにしても、この件については続報をお届けしたいと思う。とりあえずは速報ということで、以上。



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