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Tow Away

tow away

"For here?" に続いて英語のタイトルである。今度は必ず必要な類の言葉ではないが、知っていれば無用のトラブルを避けられるというものだ。いや、最後まで読むと分かると思うが実のところ知っていたのに失敗したのだが、、、

この言葉の意味は以前一緒に仕事をしていた Dennis というおっさんに教えてもらった。一人で海外出張していた時にいろいろ世話を焼いてくれたいい奴だった。彼の教えてくれた事を生かせず今回の事態を招いてしまったのは非常に残念だ。

それは海外出張中のある日曜日に起こった。

休日ということもあり昼まで寝ていた私は昼飯でも食べに行こうかと部屋を出た。

駐車場の前日車を停めたと思われるスペースに行き、そこで私は呆然とした。

車が無い、、、

だが私は慌てなかった。駐車場は結構広くて時々停めた場所を間違えたりしていたからだ。とりあえず近くを一回りしてみる事にした。

心当たりのある場所をいくつか回ってみた。しかし、、、

やっぱり無い、、、

そこで私は捜索方法を変更し、駐車場の端から端までをしらみつぶしに見て回る事にした。

昼間の駐車場をうろつきまわること約20分、、、、私は最終的な結論に達した。

盗まれた、、、

先日「近くで拳銃を使った拉致事件があった」という報告を受け、自分の身辺については気をつけていたのだが、よもやこんなところから車を盗んでいく奴がいるとは、、、

なす術も無く部屋に戻った私はしばし呆然とした。荷物を置き、水を飲んでしばらく考えた。

警察に電話しないと、、、

しかし私はそこで再び立ち尽くすことになった。

何番にかけるんだっけ、、、

「救急車は911」、これは正しい気がする、じゃあ警察は?アパートの注意書きを見ても「緊急の場合は911にかけましょう」と書いてあるだけ、警察もおなじだったかどうか定かでない。

そこで私はとりあえずインターネットにつないでみることにした。ノートパソコンを取り出し、ダイヤルアップする。ブラウザを立ち上げて Yahoo! Japan に行って検索をかける、「アメリカ 警察 電話」。

一発で答えが出た、やっぱり911だった。

ノートにペン、そしてノートパソコンを用意し電話する準備を整えたところで私は迷った。

いや、もう一回確かめよう。

もう一度駐車場に向かうと20分かけて再度探してみた、しかしやはり車は無かった。

部屋に戻り、電話の前に立つ、もうかけるしかない。

言いたいことを何度も頭の中で組み立て、とうとう私は警察に電話をかけた。呼び出し音2回、すぐに警察官が出た。

警官:「はい、こちら Austin Police Department」

私:「私の車が盗まれたみたいなんです、昨日停めたところに無くて、探したんですがやっぱり無いんです」

警官:「場所はどこですか?」

私:「xxxx アパートです」

警官:「昨日停めたはずの所に車が無くて、盗まれたと思うと、、、」

私:「そうです」

警官:「ライセンスナンバーは分かります?」

私:「はい、、、」

ライセンスナンバーを言うと警官はコンピュータで調べ始めた様だった。しばらくして警官が戻ってきた。

警官:「ありました」

私:「はい?」

警官:「あなたの車はレッカーされていますね」

私:「つまり、、、、Tow Away されたって事?」

警官:「正にその通り」

体全体の力が抜ける思いがした。全く予想外の事態だった。

私:「でも何で?」

警官:「えーと、リザーブされている場所に停めていたからですね」

私:「はあ、、、」

意味がよく分からなかったが、とりあえずどこかにあるということで安心した。

レッカー会社の電話番号を聞き、私は電話を切った。

レッカー会社に電話する前にもう一度アパートの注意書きを見てみる、駐車場の項になにか書いてある。

「Covered Area に勝手に停めると Tow Away されます」

何かいやな響きである。私はもう一度外に出て昨日停めたと思われる場所に行ってみた。

その駐車場には屋根があり、その屋根の支柱に掲示板があった。

「ここはリザーブされています」

Covered Area って「屋根のある場所」って意味かい、、、

Covered Area

敗北感と屈辱にまみれた私は再び部屋に戻るとレッカー会社に電話する準備をした。

今度は簡単だった。車はあるらしい。そこに行って金を払うだけで済みそうだ。

しかし住所を聞いて電話を切った私ははたと気が付いた。

地図が無い、、、

そこで再びインターネットである。Yahoo USA につないだ私は地図のページへ行った。素晴らしい事にカーナビのようなルート検索機能がある。日本でいえば「乗換案内」みたいなものか。

アパートの住所と目的地の住所を入力し、検索、そして出た結果を見た私は自分の目を疑った。

目的地まで10マイル

どこまで持っていっとんねん!!

街の反対側じゃねーか、、、移動する前にちょっと持ち主探してくれれば、、、

何にしても車を取りに行かなくてはならない。そこでまた私は凍りついた。

どこでタクシー拾えばいいの?

だが今度は迷う必要が無かった、再び Yahoo USA にアクセスした私はタクシー会社を検索した。

いくつかの候補がひっかかり、その中から1つを選んで電話した。

タクシーを呼び、表通りに出て待つこと10分、黄色いタクシーがやってきた。

運転手は陽気なおっさんで事情を話すと同情してくれた。

タクシーに揺られること20分弱、あっけなく目的地に到着、タクシー代は30ドル程だった。

降ろされた所は正に荒野の真ん中、鉄条網に守られた物々しい鉄柵だけがそこが特別な場所であることを示していた。

黄色い砂塵が吹き荒れる駐車場には何十台、いや数百台ものレッカー移動された車が停められている。

入り口近くに行くと小さな木の小屋があった。受け付けはこれまたワイヤー入りのガラスで守られ、その下に受け渡し用の小さな穴があいているだけだった。

中をのぞくと薄暗い室内には強面のメキシコ系のおっさんが座っていた。私は恐る恐る話しかけてみた。

私:「はろー」

受付:「なんだ?」

私:「車を取りに来たんだけど」

受付:「免許証」

私:「車の中なんだけど、、、」

受付:「じゃあ中に入って車を持ってこい」

そう言って彼が何か操作すると小屋のすぐ横の入り口が開いた。

中に入って車を探す。錆びてぼろぼろの車からまだ新しいものまで様々な種類の車が停められている。

探すこと10分、とうとう私は駐車場から忽然と消えうせた私のレンタカーに再び巡り合うことができた。

移動されてまだ半日かそこらだというのにすでに車は砂にまみれて黄色くなっていた。まるで何年かぶりに会ったような気分だった。

中に入ってエンジンをかける。免許証などもちゃんとあった。

免許証を持って再び小屋へ、そして手数料を支払う、170ドル。

晴れて放免となった私は車に乗り込み、10マイル離れたアパートへと車を走らせた。

20分後、アパートにたどり着いた私は車を屋根の無い駐車スペースに停めた。

部屋へ戻り、ソファに座り、水を飲んで落ち着いた。やっと元の自分自身に戻ることができた。

かかった時間4時間余り、そしてかかった費用200ドル、高い授業料だった。

今回の教訓:

注意書きはよく読もう

そして、

インターネットって素晴らしい


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