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ツッコミ空の旅

「今週のツッコミ」を始めて早くも4年、他人様からも「ツッコミの鬼」、などと評されるようになった。

途切れることなく心の奥底から湧きあがるこの気持は一体どこから来るのか、自分でもはっきりとは分からない。

今回はそんな私が海外出張からの帰国中に遭遇した様々な出来事を紹介したい。

2002年3月30日、私は出張からの帰途についていた。

出張先はテキサス州オースチン、日本へ帰るには同州ダラス経由となる。

朝早く、サンダーストームの中オースチンを発った私はまず無事にダラス国際空港に到着した。

ダラス国際空港、ここから成田への国際便にはいつも多くの日本人が乗っている。この日の待合室にも何人もの日本人の姿があった。

国際便出発の10分程前、搭乗客の呼出があった。

呼出:「成田便をお待ちの宮城とし子様宮城とし子様、いらっしゃいましたら23番カウンターへお越し下さい」

アメリカで日本人が日本語で呼び出されているのを私は満足しながら聞いていた。日本が近付いている証拠だ。

しかししばらくすると今度は英語で呼び出しがあった。

呼出: "Passenger Toshiko Miyagi, Passenger Toshiko Miyagi,,,"

そしてさらにしばらくすると、三度目の呼び出しが、、、

呼出: ")%!(#'('!$(!)$#)'()#!&'$#"! Toshiko Miyagi !)"')%!(#&!'(!$'#!()"!)'!$!'%!)($"......."

スペイン語かよ!!

早よ返事せな、日系メキシコ人にされてんで!!

いや、実際そうなのかもしらん、と思った私はここは落ち着くことにした。

搭乗時刻となり、私は日本へ向かう航空機に乗り込んだ。座席につき、シートベルトを締めて待っているとアメリカ人の客室乗務員がやってきた。

乗務員: "Newspaper? Newspaper?"

私は英語の新聞など読みたくなかったため、それを見送った。続いて、アジア系アメリカ人と思われる乗務員のお姉さんが来た。

乗務員:「新聞いかがですか?新聞いかがですか?」

流暢な日本語である、私は聞いた。

私:「日本語の新聞ありますか?」

乗務員:「すみません、ありません」

ほんなら日本語で聞くなや!!

出発前から私の血圧はもはや最高潮に達しようとしていた。

落ち着かなくては、そう考えた私は窓から外を眺めることにした。テキサスの天候は生憎の雨、そんな中、外では荷物を積み込む作業員達の姿があった。

コンテナを引いた車がやってきて私の窓のすぐ下に停まった。荷物を満載したコンテナをふと見た私の目に見慣れたトランクがとまった。

あ、俺の、、、

こんな事は初めてだった。ちゃんと積み込まれるまで見ていてやろうと、私は働く作業員達の姿を見守ることにした。

出発時刻まで10分少々、しかし作業員達は何故か最後に残ったそのコンテナをなかなか積みこもうとしない。

そればかりか作業員同士で井戸端会議を始める始末。さらには新しく来た作業員と挨拶がてら手を合わせる者も、、、

ハイタッチしとる場合か!!

私は焦りにそわそわし始めていた。話には聞いていたが荷物だけが届かないなどという事になるのではないだろうか。

そしてエンジンがスタートしてしまった時に客室乗務員に英語でどうやってアピールしようかなどと私が考えている間に、出発時刻がやってきた。

もうだめか、そう思った時、機内放送がかかった。

放送:「天候と荷物積み込みの関係で出発が遅れております、今しばらくお待ち下さい」

あいつらサボッてまっせ!!

窓際の客みんな見とるっちゅうねん。

しかししばらくすると作業員達がやっと積み込みを開始、無事国際便は出発となった。13時間に及ぶ空の旅の始まりである。

それはまた私にとっては地獄の13時間の始まりを意味していた。

作者紹介でも書いた通り、私は身長190cmと長身である。それがエコノミークラスの席に座ると何が起こるか、想像できるだろうか。

微動だにできんっちゅうねん!!

膝は前の座席の背にめり込み、前が突然リクライニングでもしようものなら膝の皿が割れるのではというような状態。

また頭の後ろには背もたれが無く、寝ようと思ったら天井を向いて寝るしかない、そんな状態になってしまうのである。

そのため私は海外出張や海外旅行の航空便ではいつもほとんど寝ることができない。

そんな私の機内での唯一の楽しみといえば映画である。

最近の国際便ではエコノミーでもそれぞれの座席に液晶ディスプレイが装備され、いつでも映画が見られて本当に助かっている。

この日も私は機内での時間のほとんどを映画を見て過ごした。映画の内容はあまり憶えていない所をみると大してツッコむ所の無いものだったようだ。

しかしこの日最後の事件は東京着まであと1時間というところで起こった。

その時、何か見るものはないかとチャンネルを回していた私の目に懐かしい姿がとまった。アンパンマン、ジャパニーズアニメーションである。

丁度それはオープニングで、アンパンマンのテーマが流れていた。

アンパンマンのテーマ: そうだ、恐れないでみんなのために、愛と勇気だけが友達さー、、、

食パンマンとカレーパンマンの立場はどうなんねん!!

あいつら友達じゃなかったのかよ、、、それとも愛と正義を守るのに都合がいいから利用していただけなのか、、、

余りに衝撃的な真実を知らされた私はアンパンマンへの怒りをあらわにディスプレイを睨んだ。

このにこやかな顔の裏側がこんな恐ろしい打算で満ちていたとは、、、まだバイキンマンの方が可愛らしく見えた。

ふと見上げると向こうに座っている客室乗務員のおばさんと目が合った。けげんそうにこっちを見ている。

いかん、落ち着かなくては。そう思った私は慌てて窓の外に視線を移し、到着間近の日本の陸地を探そうとした。

そうこうするうちに成田に到着、日本はすでに夕暮れを迎えていた。オレンジ色に染まった空港をジャンボが移動していく。

私は窓から夕焼け空を眺めながらぼんやりとこの空の旅を思い返していた。

近々三十路になろうという男がアンパンマンにあの様に激しく突っ込んでいていいのだろうか、、、、

そろそろ落ち着いてきてもいいんではないだろうか。

いや、私は思った。

世に矛盾がある限り、突っ込む事を止めるべきではない。この心の叫びに逆らって生きるべきではない。

いつか突っ込む必要の無い平和な世界が訪れるまで、無心に突っ込み続けよう。

私は夕日に誓いつつ、空港を後にした。

っていうか世界平和は関係無いやろ。


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