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2004年10月11日、神子元ハンマーツアーを次の日に控えていた私の所に一通の電子メールが届きました。ツアーを企画していたショップの店長からでした。
「本日、神子元でダイバーの遭難事故があり、、、明日は神子元がクローズになってしまいました。」
しばらく驚きで呆然としてしまいました。一ヶ月前に潜った同じ場所で遭難事故が起こってしまったのです。事故の詳細、原因が気になった私はそれからインターネットでこの事故について調べました。
その1週間後、大島では、有名ポイント、秋の浜から流されてきた漂流ダイバーを私の使っていたショップのボートが回収するという事件を目の前で目撃しました。
「潮の流れが速いから」というのが事故の大きな原因だという事は明らかです。しかしこれらのポイントを潜ってみて私はそれ以外にも色々な原因、
そして自分がそうならないために気をつけるべき事があると思いました。今回は流れの速いポイントでダイビングをする場合に気を付けるべき事について考えて
みたいと思います。
潮の流れのあるポイントではドリフトダイビングを行うのが一般的です。流れに乗って潜る事になるため、以下の様な特徴があります。
実際のドリフトダイビングの流れは以下のようになります。
実際にはガイドが行いますが、ダイビング全体の成否を決める重要な部分です。ガイドがスノーケリングの装備で水中の流れを見る場合もあります。水面と水中の流れが異なる「二枚潮」の場合があるためです。
エ
ントリーはブイを取って行う場合とそうでない場合があります。ブイを取った場合はロープを使って潜降して水底集合ができますが、ブイを取らない場合はすぐ
に潜降して中層で集合します。その場合はエントリーを全員同時に行ってすぐに潜降する技術が必要です。エントリーに手間どると集合できず、命取りになる事
もあります。
ドロップオフの場合、最初は壁沿いに流すのが普通です。エアの残りを合わせ、無減圧潜水時間を守るため、できるだけガイドと同じ深さに深度を保つ必要があります。中層を疲れないで流すには中性浮力のスキルが必須です。
ドリフトダイビングの醍醐味は大物です。流している時でも大物との遭遇はありますが、多くのポイントには「大物待ち」の時間があります。棚 の上や根の上に上がってしがみつく事になります。棚の上では流れが速くなるため、腕力が必要になる場合もあります。マスクが取れそうになる程の流れになる 場合もあります。手を離すと流されて漂流してしまう事になるので必死でしがみつく必要があります。体を固定するためにカレントフックという器具を使う場合 もあります。
大物待ちを終えた後はまた流れに乗って移動しますが、流れの下流では後述の「ダウンカレント」が発生するので引き込まれる前に浮上する必要があります。ガイドが浮上のサインを出したらぐずぐずせずに全員同時に浮上する必要があります。
5m程まで浮上して、安全停止を行います。この時、エグジットポイントの水面は波が立っていたり他のボートが走っていたりするので勝手に浮 上してしまうのは危険です。ロープも何も無い場所で5mで停止するスキルが必要になります。またこの時ガイドがボートに対する目印となるフロートシグナル を上げるのが普通です。
ボートが近付いたら全員で同時に浮上し、ボートを待ちます。ボートが接近してくるので注意して見ながら密集して待ちます。ボートが停止する までは危険なので近付きません。ボートが停止したら近付いてロープ等につかまり、順番にボートに上がります。波が立っている事が多いのでつかまりながら手 際良くフィン等を外してエグジットする必要があります。
このようにドリフトダイビングではそれぞれのステージで必要なスキルや注意するべき事があります。
流れのあるポイントで最も危険な流れがこのダウンカレントです。水底に引き込む流れ、という事は知っていてもどのようなメカニズムで、どういった場所に発生するのかを知らなければ注意する事はできません。ダウンカレントは水中の根や棚で流れの下流に発生します。
ダウンカレント
図で分かる通り、水中では根や棚は潮の流れを絞る効果があります。流れの上流ではゆっくりとした流れであっても、それが絞られると、同じ量の水がよ
り狭い場所を流れるため、流れは必然的に速くなります。これが根の上で大物を待つ場合に速い流れにさらされてしまう原因です。ここで手を離してしまうと速
い流れに流されて一気にはぐれ、漂流してしまう事になります。
また根の上流部分では水底から上がって来る流れ、そして下流部分では水底に引き込む流れが発生します。根の下流にできる下降する流れ、これがダウン
カレントです。根の上の速い流れのまま下降して行くため、これに乗ってしまうと一気に水底まで持って行かれてしまいます。根の下流では根によって流れが乱
されるため、渦などの予期しない流れが発生していて巻き込まれると非常に危険です。
そのため根から離れる場合にはただ流れに乗るだけではなく、ダウンカレントに乗ってしまう前に浮上を開始する必要があるのです。
もし運悪くダウンカレントに乗ってしまった場合、根の近くでは流れが速いため、流れに逆らって浮上する事は困難です。そんな場合はできるだけ根から離れる方向に移動し、流れが遅くなった時点で浮上します。
このように流れのある場所では自分がドリフトダイビングのどのステージにいるか、そして地形的にどんな場所にいるかという事を把握する事が重要にな
ります。その上で適切な行動を取る事ができれば、漂流の危険は減少します。またもしはぐれて漂流してしまった場合でも適切な行動を取る事ができます。知識
と経験を積んで、ぜひ安全なダイビングを続けましょう。
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